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カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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里帰りのPEN-Sオリーブの巻

2023年04月10日 09時30分00秒 | ブログ

おぉ、我が子が帰って来たね。過去にPEN-Sオリーブをご依頼頂いた方から整備のご依頼です。今見ても手抜きのない塗装をしていたなと思います。しかし、最近は修理のご依頼が多く、また、老眼も進んでいるので塗装は厳しいです。昔、有名な世代的に先輩の塗装職人の方が辞められた時「なんで」と思いましたが、今は分かる気がしますね。オリーブは数台作ったと思いましたが正確には忘れました。

まず、もう一台のPEN-S2.8 #309236から始めます。PEN-Sは長く生産されましたが、発売は1960年6月とのことですがこの個体はシャッター捺印から1961年10月となっていますから同月か翌月のカメラ製造と思われます。かなり初期型と思いますが、シリアルの頭がすでに「3」なんですね。

何故、初期型を入手されたのかは分かりませんが、実用でしたら初期のシャッターは色々と問題が有る場合が多いですから避けた方が良かったかもしれません。で、眠いながらも一応作動していますが、工場を出たままのシャッターが作動していることはまずありません。過去に修理を受けているはずです。点検するとスローガバナーを留める初期特徴の頭の小さなネジのスリ割りが笑っています。あまり慣れた方の分解ではないと分かります。

作動リングのリターンスプリングですが、の部分がピンに対して完全に嵌っていません。頭の部分に引っかかっているだけです。これですとバネが外れる危険性があるのとバネのテンションが不正確になってしまいます。

 

一番の問題は、以後の生産に比べてメインバネのテンションが弱いと思います。経時劣化もあると思いますが、線径も細い感じがします。元々、作動トルクに余裕のない設計ですから、バネが弱くなると作動の安定性は厳しいです。出来るだけフリクションを少なくするように組みます。

古いシャッターはシャッター羽根が腐食しているものですが、意外にこの個体は良好でした。洗浄をして組み立てます。

 

本体を洗浄して組み立てて行きます。

 

 

完成したシャッターユニットを搭載しました。

 

 

レンズが意外に良いですよ。後玉のコーティング曇りも全くありません。初期のレンズの方がコストを掛けて作ったかしら?

 

前玉も同様です。レンズについては満点です。

 

 

ファインダーは過去に清掃を試みて前面ガラスの縁を欠けさせています。カバーの接着剤はきれいに清掃をします。

 

ファインダーをセットしたトップカバーを本体に取付けて完成。

 

 

あ~、長くなっているので簡単にします。3.5の中期頃のシャッターはハウジングが黒仕様になります。「品質の向上」? 。単にコストアップの要因をするはずは無いので、仕様変更の差別化ではないかと思います。これから改悪の変更が行われていきます。

このシャッターはリペイント時にオーバーホールをしていなかったようですので作業をして組み込みました。シボ革はリペイン直後は塗膜にストレスを掛けたくないとの判断から両面テープ貼りとしていましたが、長期に剥がれが発生して取り外されていまして、シボ革も付属していませんでしたので純正ストックから調達をして接着をしてあります。

裏蓋も同様に接着をしました。

 

 

PENはオリーブは似合うと思いますね。

 

 

と言うことで2台のPEN-Sは完成です。明日は通院のため、たぶん更新は出来ないと思います。よろしくお願いいたします。

 

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