ロンドンオリンピックも、まもなく終りますね。最終日は陸上競技の華、男子のマラソンですが、日本は中本選手が6位入賞で難コースとしては頑張りましたね。2大会ぶりの入賞とのことで、アフリカ勢の台頭は続くようです。東京大会の時は1位はエチオピアのアベベで2位はイギリスのヒートリー、3位が日本の円谷でしたが、2位で競技場に戻って来た時には円谷のすぐ後ろをヒートリーがつけて来る。「これはやられるな」と思ったら、バックストレッチで狙いすましたようにヒートリーがスパート。実況アナウンサーが「イギリスのヒートリーが追っている、ヒートリー追った円谷頑張れ」と連呼しましたが、すでに抜き返す力は無く、残念な3位入賞だった。しかし、円谷は本命の選手ではなかった。君原や寺沢が失速する中、若手の円谷が日本勢を救った。直後のインタビューで「後ろから来ているのが気が付きませんでしたか? 抜き返せませんでしたか?」と厳しい質問。夢遊病者のような状態で「なにも分からなかった」という意味の返事をしていたと記憶しています。しかし、円谷の活躍により、大会最終日に国立競技場に唯一日章旗が上がった。その後の国民の期待が大きい中、自らの命を立ったことは残念なことでしたね。今よりもっと国民のプレッシャーが大きかった時代ですからね。
で、世の中はお盆休みとのことで、帰省や行楽に出かけている方が多いのでしょうね。PENのO/Hご依頼も少なめです。そんな中、PEN-Wが来ています。入手されて間もないご様子ですが、いやぁ、こんな個体がありましたか? 塗装の劣化も少なく、疲労も無いし保管状態も良い。分解歴はありますが、過去のメンテナンスで良好を維持していると言うよりは、新品の時から劣化が少ないという感じですね。しかし、一見、良好に見えるシャッターは、Bで開いたまま止まってしまいます。スローガバナーの作動不良が原因です。
トップカバーの状態もまずまずですね。ファインダーが曇っていますが、前面の保護ガラスは分離された形跡があります。(接着されていない)そこまでやったら対物レンズも分離して清掃すれば良いと思います。
シャッターも特に問題は無いと思います。長期の保管で、シャッター羽根に赤錆が多く発生しています。
2軸を組み立てています。リンケージ関係のクロメート処理もきれいなままです。
こういう個体は、特に書くことも無いので苦労します。本体のモルトを貼ってダイヤルカバーを取りつけて、ほぼ組立完成。ファインダーも清掃、再接着をしてあります。
清掃をしたファインダーをトップカバーに取り付けますが、分解歴のある個体は殆ど遮光カバーの古い接着剤がそのまま残っていて、それによって遮光カバーが密着していないものが多いですね。両方の接着面をきれいにしてから再接着をします。先端の「角」が曲がっていたり浮いていたりしている個体も目に付きますが、前面の保護ガラスの脱落を防いでいるのです。
とい言うことで、特にハプニングも無く組立は終了しています。この個体のように、元々不具合の無い個体の作業は、作業前後との差を出しにくいのですが、巻上げ、シャッター及び絞りリングの作動フィーリングなど、官能性能に拘った作業を心がけています。それにしてもきれいな個体ですね。画像のように、ピントリングは∞位置まで繰り込むと彫刻文字が隠れるのが正規です。現代の製品であれば問題かも知れませんね。#1064XXでコパルでのシャッター完成とオリンパスでの製品完成が共に1964-11月という個体。
で、この個体は別のPEN-W で、#1232XXとこちらの方がシリアル番号は後ですが、実際には上の個体よりは早く1964-9月の製造です。シリアル番号は必ず正数順ではありませんので覚えて置いてください。当方の在庫機ですが、PEN-Wが欲しいけど、中々出会えないという地方の方などにオーバーホールをした上でお譲りしたいと思います。上の個体の程度が良すぎたので、多少の見劣りはしますが、トップカバーなどは殆ど塗装が落ちているような個体もありますので、使用過程機としては標準的なコンディションだと思います。トップカバーの塗装は比較的きれいでしょ。吊環部に剥げがあります。ダイカスト本体の下側角に剥離があります。
トップカバーに比べて裏蓋の底部分は剥離が多いです。外周が剥離しています。でも、この程度は普通ですよ。
距離リングのローレツト部分のアルマイト剥離が目立ちます。永く保管している間に指の塩分で腐食が進んでしまったものです。この部分は、焼付塗装にてタッチアップ補修をする予定です。その他、メカ部分は全く問題の無い個体で、これからシャッターのオーバーホールに掛かります。お譲りする価格は決めておりませんが、PEN-Wは稀にしかご提供出来ませんので、ご希望の方は希望価格をメールにてご連絡ください。恐縮ですが、一番高く評価して頂いた方にお譲りしたいと思います。
シャッターは全く疲労していませんでした。シャッター羽根もきれい。調子よく作動します。ターミナル接片の半田が脱落していましたので、再半田をしてあります。
メカに不具合はありませんので、ここまで組んでいます。トップカバーの駒数ガラスはクラックがありましたので新品と交換してあります。トップカバーは比較的きれいですよね。
トップカバーの塗装コンディションと裏蓋底部は差がありますね。これは、塗装の工程が別々で、耐久性に差が出たものと思います。こちらが現状で普通のコンディションです。
裏返し。やはり、底部のコンディションが目立ちますが、大きな当りはないですね。
内部はフィルムレールの腐食もなくきれいです。圧板の腐食もありません。外観は現存機の中では標準的なコンディションの個体だと思います。完全整備済みですので、安心して使いたい方には持って来いの個体でしょう。