今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

INOBOO SEIKO Sportsmatic 5 DX のレストア

2012年03月07日 21時59分29秒 | インポート

Dscf099059 時計をやります。この時計はセイコー・スポーツマチック5 6619-8110と言う諏訪製の機種ですね。機械は現状は不動で、日修正レバーも固着して動かない状態です。うちの初期からのご常連さんのINOBOOさんがお好きなモデルということで、いつもお世話になっていますので、レストアしてプレゼントをしたいと思います。但し、治ればのお話しですが・・この時計は普及クラスの実用品のため、ステンレスケースも大小多数のキズが付いています。金属バンドが標準なので、この頃の機械は擦れによる小キズが多いのです。そこで、画像はすでにケースの研磨をしてありますが、大きなキズは取りきれません。風防ガラスは純正はすでに入手不能のため、社外品を取り寄せてあります。文字盤にも外周に劣化が始まっていますが、取りあえず今回はこの機械をベースとして作業をして行きます。

Dscf099121 当然、過去に分解を受けていますね。針座のワッシャーが逆に入っています。カレンダー関係が動かない原因を分解しながら見て行きますが、特に欠品は無いようです。ピンセット先のレバーバネが飛び出していますので、これが原因かも知れませんね。

Dscf099264 のカニさんのハサミみたいなレバーがマジックレバーと言って、自動巻きの回転錘がどちらに回転しても、同じ方向に巻上げるという機構。たつた一つの部品で機能を果している優れものの部品です。ペンの設計思想にも似ている気がします。

Dscf099384 これで粗方の部品は取り外して地板だけになっていますね。リューズはセットしたままでオシドリなども付いています。超音波洗浄のあと、ここから組立を始めます。巻上げ部分には力が掛かりますのでモリブデングリスを塗布してスムーズな作動と磨耗を防止しておきます。

Dscf099464 止せば良いのに香箱のゼンマイを分解したことで、あら大変でした。手巻きのゼンマイと違って専用工具がないと、えらいことになります。まぁ、何とか組み込みまして、輪列は特に問題は無くガンギ車、アンクルまで組んであります。最後はテンプを降ろします。調子の良い機械は、待ってましたとばかりに勝手に動き出します。

Dscf099525 天輪もバランスが良く、ブレていません。気になったのは、2時の位置にあるゼンマイを巻くためのか角穴車ですが、上に1枚ワッシャのようなものが入りますね。これは、マジックレバーの案内らしいですが、同じく角穴ですが香箱真の角部分が短く角穴にセット出来ません。原因は分かりませんが、センターずれしないようにネジ留めをしてあります。これで輪列(裏側)は完成。この上に自動巻きのユニットが載ります。次は、ひっくり返してカレンダーなどを組んで行きます。

Dscf099679 不動の原因特定出来ませんでしたが、曜車を制御するバネが入っていませんでした。そこで、0.2mmステンレスバネ鋼で解説書の画像を参考に製作しました。画像は組み込んだ状態です。

Dscf099767 天輪の振りも大きく、調子は良いと思います。文字盤は外周の劣化と、過去の分解によるキズがあるのが残念なところ。デッドストックが見つかれば交換したいですね。で、仮に針を付けてしばらくエイジングをします。ハイポンタックにて、汚れを掃除しているところ。カレンダーも今日に合わせて、これで現役復帰となりました。しかし、普及クラスのファイブですので、5振動であること、ハック機能や手巻きも省略されていることなど、機能や精度等級は絞られていますね。

Dscf098964 ケースにプラスチック製の風防を取り付けますが文字盤外周の化粧リングに小キズが多いため磨いて消しておきます。ケースによっては、この部分が別パーツとなっていて、(他のデザインバリエーション)ケースにはめ込んである場合もありますが、このケースでは、ケースそのものを磨き加工としてあります。

Dscf099034 風防はベセルを圧入することによって固定しますが、このベセルに適当なコマが無いため、ジュラコン材から旋盤加工にて作ってあります。画像は圧入が完了したところ。一応、防水時計と言うことになっていますが、風防とケースの間にはパッキンなどは一切入りませんので、現在の基準からすれば非防水レベルだと思います。何故か、このシリーズは、裏蓋もねじ込み式ではなく、非防水と同じ圧入のスナップ式です。しかし、裏蓋には、誇らしげにイルカちゃんのマークが付いています。

Dscf099188 機械をケースに収めて固定します。組立の最後は、自動巻き用の錘(ローター)を付けて角度によってスムーズに回転するかをチェックしておきます。この個体は、実用期間は少なめだったと見えて、中央のベアリングにガタは少なかったですね。ベアリングが磨耗をすると、ローターが傾いて機械本体と接触するようになります。ジャンクには多い症状ですね。

Dscf099325 最後に完成した時計にベルトを装着します。この頃から純正標準は金属ベルトになりますが、便利だけど時計を傷つけるので、あまり好きではありません。当時の純正中古は磨耗で延びていますしね。で、安物ですけど、仮に皮ベルトを付けておきます。モレラートに比べて皮の黒味がありませんが、この頃の機械は厚みがあるため、ドレス用の薄いベルトでは似合いません。そこで、クロノグラフ用の厚みが5mmのものをチョイスしています。あとでご自分のお好きなものに交換してください。

Dscf099655 パネライとは比較になりませんが同じ機械式時計です。製造は1966年11月ですから、気が付けば46年ぐらい前のモデルなんですね。あと4年でアンティークになります。この頃は、オートバイのロードレースでも、日本製マシンが学習しながらトップに躍り出た時代です。その他の精密工業が飛躍した頃なんですね。いつもお付合いを頂けるINOBOOさんに感謝をこめて。Special Thanks !

Penscketch8_m

ペンスケッチ展8が開催されます。日程は渋谷会場は6月5日~10日まで。兵庫県の三宮会場は7月20~22日となっています。「誰でも何の資格なくお気軽に参加できるネット公募のフォトイベント」です。オリンパスペンは元より、昭和30~50年代に生産された国産のハーフ判で撮ったフォト作品で、撮影テーマ、出展サイズ、展示様式は自由となっています。愛用にカメラで撮影した作品で参加しましょう。

二次募集は3/1から12までです。詳しくは、

http://mazken.cocolog-nifty.com/


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。