今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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初期型PEN-EE+38mm Macroの巻

2014年11月18日 19時28分38秒 | ブログ

最近良く来ますね。PEN-EEの単速初期型です。現状はシャッター羽根がネコ目で巻き上げも不能、全くの故障機ですが、オーナーさんは、今まで調子良く使用していたので、部分修理で良いのでは? とのご意向ですので、それに沿って原因を探って行きます。

過去に分解を受けていますね。ご覧のようにシャッター羽根はネコ目で固着してビクとも動きません。

 

過去にシャッター羽根も分解されていまず、油が回っていて、それが羽根同士を固着させています。リンケージ部分に注油をしたのかも知れませんが、このシャッターは羽根に油が回るので、この部分には注油は厳禁です。

 

絞りも固着しています。組立のビス3本にはワッシャーが入りますが、それを瞬間接着剤で地板に接着してあります。これにより取付け角度に倒れが起きる可能性があります。確かに組みにくい部分ですが、頭を使えばどうということはないはずです。

絞り羽根の固着はやはり油の乾燥と、なにやら鉛筆でゴシゴシやっていますね。裏ワザで良く目にしますが、効果はないですし、弊害があるのでやめましょう。

 

ファインダーの汚れを清掃してあります。駒数板の取り付け位置が間違っています。巻上げた状態で12時に0か40が来るように組みます。

 

オーナーさんからは、露出は適性との申し送りがありましたが、メーターはアンダー傾向です。前回の個体もそうでしたが、この個体もセレンに調整抵抗が入っていませんので、調整が出来ません。ASAで調整してください。

 

その他、レンズ、巻上げ関係は非常に良好です。程度の良い初期型って、結構残っているものですね。

 

38mm Macro はFT用で珍しいですね。絞り羽根の復帰が緩慢になっています。原因は、流化したヘリコイドグリスが流れ込んだためですが、この個体の場合は、過去に分解清掃を受けており(画像に拭き上げ時の紙片があります)右側のマウント部の動きも途中で引っかかる状態です。

今回は絞り羽根部分を洗浄脱脂してあります。

 

 

マウント側も洗浄脱脂のあと調整をしてあります。リターンスプリングも少し弱っていますね。後玉を組んでマウントを取り付けます。

 

前側は他のレンズと同じ。洗浄した絞りリングに新しいグリスを塗布して組んであります。作動は確実で良好です。PASSEDですから里帰りレンズですね。道理でレンズの状態がすばらしいと思いました。これにて完了、「全弾命中爆撃終了帰路ニツク」

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