明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1201)年頭に世界を俯瞰する・・・連載1200回を超えて-カンパの訴え1

2016年01月05日 15時00分00秒 | 連載の節目に・・・カンパのお願い

守田です。(20160105 15:00)

みなさま。明けましておめでとうございます。
昨年のみなさまの恩に心から感謝申し上げます。みなさまの支えがあってこそ2015年を走り抜くことができました。昨年はとみにそんなことを痛感する一年でした。
今年も精一杯の活動を行います。どうかよろしくお願いします。

同時に今回の投稿をもって「明日に向けて」は連載1200回を超えました。この前に地震情報を合計46回出していますので、通巻では1247回目になります。
2011年3月11日から今日まで約1.4日に1本のペースで発信してきました。
今後も引き続き発進していきますが、現代世界が大きな転換点にあることを見据え、今後は領域を文化・哲学・思想等々にも拡大したいと思っています。

それらはすべて密接につながっています。
無論、基軸は放射線防護活動に置きますが、よりトータルな展開を行うことを通じて、私たちが、明日に向けて、いかに考えるべきなのか、考察の素材になることを提供し続けたいと思います。
連載1200回を超えて、こうした活動の継続のため、みなさまにカンパを呼びかけます。ぜひお力添え下さい!以下、振込先を記しておきます。

 振込先 郵貯ぎんこう なまえ モリタトシヤ 記号14490 番号22666151


年頭にあたって世界を俯瞰したいと思います。
東日本大震災と福島原発事故から5年近くが経ちました。
この間、日本社会だけでなく世界が大きく変わってきました。この変化をどう捉えたら良いのでしょうか。

昨年年頭に僕は私たちが立っている場が、世界史的にどのような流れの中にあるのかを分析し、この場で連載しました。
その時に突き出そうとしたのは、新自由主義の登場の背景と私たちがなすべきことでしたが、あのフランスの新聞社襲撃事件が起きてしまいました。
さらに後藤さん、湯川さんが人質になっていることが発覚し、二人の救出に全精力を傾けたいと思ったこともあって、連載を中断してしまいました。

ご存知のようにその後、二人は殺害されてしまいました。こうした暴力の応酬の流れが止まることを願いつつ、平和に向けた発信を続けましたが、世界の暴力の応酬はむしろエスカレートしていきました。
昨年の夏ぐらいからIS(イスラム国)を叩くと称した空襲が、各国の参戦のもとに強化され、たくさんの民間人が巻き込まれました。
これに対する報復の無差別殺害事件が、モスクワ行き飛行機の爆破やパリの劇場での乱射による100名以上の殺害などの形で行われました。アンカラでの爆弾を使った100名殺害のように、実行者がはっきりしない事件も起きました。

僕は今一度、この世界の流れをおさえておくべき必要性を感じています。そのために以下に昨年の連載のアドレスを記しておきます。

 明日に向けて(1005)世界を新自由主義が破壊している・・・年頭に世界を俯瞰する-1
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/8e0a39551f43bdbef371752ad4b75098

 明日に向けて(1006)ケインズ主義の崩壊と新自由主義の跋扈・・・年頭に世界を俯瞰する-2
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/8fc6ceaebfc21528ad16188ec248f8f3

 明日に向けて(1007)高度経済成長と新自由主義に共通する非人間的価値観・・・年頭に世界を俯瞰する-3
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/a2b0d7045410bc422dfa3efdae72a1e1

 明日に向けて(1008)私たちは開発の中で大切なものを失ってきた・・・年頭に世界を俯瞰する-4
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/c1e7d8b766935cabd514323ce9ce208a

 明日に向けて(1010)フランス新聞社襲撃事件の背景にあるものは何か-(年頭に世界を俯瞰する-5)
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/922073679244fa4b684e8db1b99c7523

 明日に向けて(1011)アメリカこそが過激主義者を生み出してきた元凶だ!(年頭に世界を俯瞰する-6)
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/2aa88bebde2c1c46ab8d09083a065176

僕が書いたのは、私たちの社会の矛盾は、何も安倍政権になってから深まったのではなく、新自由主義以降に生まれたのでもないこと。むしろ戦後の各国の経済成長のもとでたくさんの大切なものが失われて、矛盾が拡大してきたことでした。
ただしこの矛盾にはさまざまな歯止めがありました。社会主義の影響がそこにありました。

しかし1970年代後半から社会主義が崩れだし、旧ソ連や東欧社会主義政権が80年代末から崩壊していきました。同時に資本主義の中で社会主義を取り入れてきたケインズ主義も崩壊していきました。
その意味でこれは現代資本主義の行き詰まりでもありました。もっと大きくは近代の行き詰まりです。科学の力によって生産力を発展させ、経済を成長させていくことに未来を託す考え方の瓦解です。

その恐ろしい表れの象徴だったのが、スリーマイル島、チェルノブイリ、福島と続いてきた原発事故であり、放射能による健康被害の激化でした。
いやそもそも放射能による被害は、核実験の繰り返しですでに世界に大変な規模で起こってきたことを私たちはもっと自覚する必要があります。
ここに表れたのは科学の発達で無限の力を手に入れることができる。今できないことも先送りすればいつか解決できる。だからビックパワーを得よう。その中で儲けたいものは儲ければいいという近代のパラダイムの限界です。

さらに現代ではこの上に、貧富の差の強烈な拡大が襲ってきています。つつましやかな生活をしている人が汗水流して働いて作り出した価値の搾取と収奪が激化しているのです。
これを進めたのものこそ資本主義の行き詰まりを突破すると称した新自由主義でした。実態は弱肉強食の市場経済への舞い戻りでした。
この序曲をなしたのは1970年代に世界が金本位制から変動相場制に移行したことです。ものの価値をはかる絶対的な基準がなくなって為替が激しく動き、そこに人々が群がるようになりました。

あらかじめある通貨を安い時に買っておけば、高くなった時に売り払って大儲けできてしまう構造が生まれ、マネーゲームが拡大し始めました。
これらは合法的に行われていますがおかしいと思わないでしょうか。働きもしないで大儲けができる。その儲けは一体どこから来るのかと言えば、日々、汗を流して人々が生み出したものからです。
だから今の世の中では真面目に働いていてもいいことはないと思われがちです。そんなことはないのですが、手っ取り早く他人の生み出したものを収奪できるシステムの拡張が世界のモラルをも激しく壊しているのです。

そんな理不尽なことの横行の中で、今、世界中でイスラム教徒が増えています。イスラム教の理念があこぎな儲けを戒めているからです。
いやもともと他の多くの宗教も、他者の生み出した価値の強奪など認めていません。にもかかわらずキリスト教国のアメリカが悪辣な儲けに奔走し、仏教の強い日本がその後ろを走っている。
資本主義を一番批判してきたはずの社会主義国の中国も、儲け主義をひけちらかせているため、キリスト教世界の欧米に虐げられてきたイスラム圏の思想に共感が集まっているのだと僕は思います。

ただしそこにアメリカ流の暴力思想が入ってしまった。出発点は旧ソ連のアフガン侵攻へのイスラム教徒の抵抗にアメリカが大きく介在したことでした。
その後にさまざまなイスラムを名乗る武装集団が生まれました。これらの人々はアメリカの暴力思想をコピーしてしまいました。
原爆投下に顕著なようにアメリカは平気で無差別殺戮を行ってきましたが、戦争の中ではこのように非人道的な方が強い。武装集団が取り入れたのは人殺しが最も上手なアメリカの戦争方法でした。

しかも今、世界ではこうした武装勢力に、社会の底辺に落とされ、絶望を深めた人々が合流しだしています。
昨年、起こったパリの事件も、フランス育ちの若者が、社会への絶望感の中で、命を捨てても報復を行う決意を固め、実行してしまいました。
アメリカでは武装集団に共鳴した若い夫婦が、組織的接触もないまま、近隣の人々を殺害するということまで起こってしまいました。

この流れは絶対に空爆によっては断ち切れません。というよりこの流れはアフガン・イラク戦争の中で拡大してきたのです。
恐ろしいのはこれに対する反撃が、欧米の軍隊に向けられていた段階を越えて、各国の都市で爆発しだしていることです。

しかし私たちはまだこの攻撃がある種のモラルのもとで行われていることも見ておくべきです。
大量の人を殺すだけならば、もっと容易にやれることがあります。ガスタンクの爆破や鉄道転覆でも大変なことになる。さまざまな毒薬も容易に作れてしまいます。
まだ攻撃はそこまでエスカレートしていません。ぜひとも私たちはこの段階で攻撃を止めなくてはいけない。

そのためには元凶であるアメリカなど欧米の攻撃を止めさせる必要があります。武装集団の攻撃はこれらに対する報復なのですから。欧米の攻撃は過った解決法というよりも、問題の元凶そのものなのです。

続く

 

 

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