ぼちぼち日記

大切な日々のこと

『夜のパパ』

2008-01-04 17:00:48 | わたしの読書
『夜のパパ』
マリア グリーペ(著), 大久保 貞子(訳)
村上春樹を読んだ後は、(読み終わってしまった)悲しみのあまり、
他の本を読めなくなってしまい、いつも、復活するのに時間がかかります。
エッセイや短編だと、そうでもないのだけれど、今回のエッセイは、かなり
胸に響いたので、長編を読んだときと同じように、抜け殻になってしまいました。

ようやく、ようやく、読もうか・・・という気持ちになって、
でも、図書館の本は、全部返してしまっていたので、
家の本棚から、妹に借りたままになっていた本を出してきました。

これは、お父さんのいない少女・ユリアと、
看護婦をしているお母さんが、夜のお仕事に行くときのために、
子守りとして雇った『夜のパパ』のお話。
二人の想いが、交換日記?の形で進んでいきます。
二人の出会い、
二人が、心を通わせていく様子。育まれる友情。
どれもこれもが、愛おしい作品でした。

中でも、心に残った言葉。

友だちに「夜のパパなんて、おかしい」と、からかわれ
どうして、夜のパパがいて可笑しいの?と、書くユリア。
その中で、
みんなのパパとママの関係は、校長先生と先生の関係に似てる
というユリアの言葉に、どっきりさせられました。

パパとママと子どもがいるから、全部揃っているから、家族なんじゃない。
パパだから、ママだから、子どもと心がつながっている訳じゃない。
お互いを想い、信頼し、言葉と時間を重ねてこそ、家族であり
そういう人が、子どもには必要なんだなと思う。
夫婦関係も同じく。

とても、とても考えさせられた一冊。
復刊ドットコムによって、復刊したとか。
挿絵も、最高に素敵。
年始早々、手元に置きたい一冊となりました。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
続編 (naoko)
2008-01-04 18:40:06
 あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

「夜のパパ」続編もあるんだってよ。
お姉ちゃん買って私に貸してくれてもいいよ(笑)!
続編があるっていうだけで、本ってワクワクするよねぇ。
挿絵も最初怖い絵だから「えー!」って思ったけれど、
読んでいくうちにこれで無きゃ駄目だって思うようになりました。
私が心に残ったのは石のはなしです。

同じ作者の「忘れ川を渡った子供たち」は「夜のパパ」と全然違うスタイルの本だけれど、底を流れているものはやっぱり同じ物を感じてよかったです。
今度持って行くね。
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マリア・グリーぺ (マーガレット)
2008-01-05 15:25:16
『夜のパパ』もその続編『夜のパパとユリアのひみつ』も、復刊ドットコムで篤い一票を投じた1人ですので、こももさんの感想はとってもうれしいものがあります。
私が始めてマリア・グリーぺが大好きになったのは、『それぞれの世界へ』『自分の部屋があったら』『エレベーターで4階へ』の3部作なのです。これも、時間のあるときに、「忘れ川・・』同様読んでみてください。
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Unknown (ぱせり)
2008-01-06 09:37:29
大好きな大好きな大好きな本です。
「夜のパパ」と「僕の夜の娘ユリア」と呼び合う、素敵な時間にため息です。
静かで神秘的な夜の雰囲気も大好き。
挿絵の二人の肖像(?)が好きで、この二人はきっとこんな姿をしているに違いないと思っています。
こももさんの「お互いを想い、信頼し、言葉を時間を重ねてこそ・・・」という言葉、ほんとうにそうですね。
続編とあわせて再読したくなりました。
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naoへ (こもも)
2008-01-06 13:00:43
ごめんー。
続編、借りてきちゃったよー(笑)
昨日が、図書館はじめでした!!ので。

私はね、
「夜のパパ」という題名を聞いたとき
きっと、
お父さんのいない少女のところに、お父さんの幽霊が
夜な夜なくるに違いないと勝手に想像していて、
悲しいお話は嫌だなーって思っていたの。
でも、挿絵が、とてもオシャレで素敵だったから、
読む気になりました。
絵って、人によって感じ方が違うんだね!

私も、石の話は好き。
ユリアの石の話も、パパの石の話も、どちらも、実に覚えがあるような気がして、胸が痛くなりました。
そういう物語って、いいよね。

「忘れ川・・・」も、是非、貸して下さいませ!
マーガレットさんに、たくさん教えてもらったし、今年は、この作家さんを読むぞって、はりきっています。
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マーガレットさんへ (こもも)
2008-01-07 22:32:49
ああ、そうだったんですか!
マーガレットさんが、私に、この本を読ませて下さったのですね。
先日、続編を図書館に借りにいったら、書庫に仕舞われていたので、この本が、新刊として出版されていなかったら、私は、きっと読めなかったでしょう。
妹は、ことりさんで購入してきたのですもの。
一票が、この本を支えているというのが、とても嬉しい気がします。

感動の一冊。そういう本ではないですものね。
それなのに、読み終わった後に心に残る、この光のようなものは、なんなのでしょう。
こういう本が、図書館の隅っこに、こっそり置いてあったり、家の図書室に、そっと置いてあったら、どんなに素敵でしょう。そう思いました。

新年早々、気になる作家さんに出会えて、とても幸せです。
教えて頂いた本は、是非、読みたいと思います!
ありがとうございます!!
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ぱせりさんへ (こもも)
2008-01-07 22:36:37
うふふ。
大好き三回の本なのですね。
実は、この本を読んでから、題名で検索していったら、ぱせりさんの本棚に辿りついたのですよ。
ぱせりさんの書評に、深く深く頷いてしまって、それを読んだら、たくさん書けなくなってしまいました(笑)
だって、全部、真似したくなっちゃったんですもの。
で、さらりの感想です。

私も、あの二人は、挿絵と寸分違わないと思っています!
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