ぼちぼち日記

大切な日々のこと

『サリーの帰る家』

2010-11-02 13:33:30 | わたしの読書
 『サリーの帰る家』 エリザベス・オハラ作 もりうちすみこ訳

パソコンが壊れていた間に読んだ本。舞台は、アイルランドです。
アイルランドが舞台の小説は、はじめてかもしれません。
アイルランドは、いつか訪れたい地の一つ。
若かりし頃、一度、夏休みに短期語学留学を申し込み、みなに反対されてやめたという
(テロが多かった頃だったので)思い入れのある土地でもあります。
ああ、今思えば、行けば良かった・・・。美しい表紙を見て、深々とため息をつきました。

さてさて、読書記録。

父親の不慮の死により、主人公の家族の生活が一変するところから、物語は始まります。
夢見がちの少女サリーは、学校をやめ、妹と共に、住み込みの仕事に出かけていくのです。
住み込みと言っても、知り合いの家にではありません。雇われ人の市に立って、雇われるのです。
そこまで読むと、悲惨な物語のようなのですが、そんなことはなく、その試練によって、
夢見がちの少女が、大人の女性へと成長していく姿が描かれていきます。
とても読みやすく、良い意味において、いつかどこかで読んだことのあるような、懐かしさで溢れていました。

アラフォーの女にだって、少女の頃があった訳で
私にとって、「夢見がちの少女の頃」は、自分の一番良かった時代だと思っていました。
でも、成長したサリーの凛とした美しさに接し、その後の私の人生だって、捨てたもんじゃなかったわね
と、なんだか、その後の人生が愛おしくなったのでした。

雇われ人の市での母親の毅然とした態度に涙し、妹が契約した家の魅力的な老婆にワクワクし、
器用で、見事に家事をこなしていた妹が、夢見がちの少女になっていく姿に微笑み、と、
サリーの成長以外にも、見所はたくさん。楽しい読書でした。
続編もあるのだとか。
成長したサリーの活躍や恋の物語だろうかと、想像がふくらみます。
日本語に訳されるのが、待ちきれないです。