「コントラスト効果」とは人の認知特性を利用した営業技術だそうだ。最初に高額な商品を見せ、その後にそれよりは安価な商品を見せる。手の出ない価格であっても最初の商品との比較で2番目の商品が安く感じられ、購入の可能性が高まるという。そういうことはある▼<そろばんを二度手に取ると直(ね)が出来る>。江戸期の川柳だが、これも「コントラスト効果」だろう。最初にそろばんで示した価格に客が不満なのを見て、2度目のそろばんで納得させる▼してみると、石破茂首相はなかなかの営業マンかもしれぬ。いわゆる「裏金議員」の衆院選での公認問題。自民党派閥の政治資金規正法違反事件を巡って収支報告書に不記載があった議員の扱いである。一時は原則公認とする方向で話が進んでいたが、世論の厳しい批判を見てか、石破さん、2度目のそろばんをはじいて12人を非公認とするという▼党内の強い抵抗を振り切っての非公認の判断に「ほほう」と思わぬでもない。が、これもやはり、「コントラスト効果」のクチではあるまいか▼当初の原則公認からの比較によって、石破さんの「英断」のように見えても、非公認になったのは全体のうちの12人にすぎない▼さて、衆院は昨日解散し、総選挙に突入する。有権者は石破さんのはじきだした「そろばん」の値をまっとうと見るか。それとも、眉に唾をつけるか。
最新の画像[もっと見る]
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます