ファンタジアランドのアイデア

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パンデミック対応の良し悪しが国家の防衛力を左右する アイデア広場 その801

2021-01-26 18:02:34 | 日記

 新型コロナウイルスのパンデミックに、世界が苦しめられています。このようなウイルスや細菌は、まだまだあるようです。哺乳類や鳥類には、未知のウイルスが170万種ほど存在します。170万種ほどのうち63万種が、人に感染する可能性があると推定されているのです。動物と人に感染する病原体によって引き起こされる感染症は、200種類以上が確認されています。あまり知られていないことですが、毎年5つ以上の新たな人獣共通感染症が発生しているのです。近年パンデミックを起こした感染症は、インフルエンザや重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(NMRS)、そして新型コロナウイルスになるわけです。新型コロナによる経済的損失は、1月から7月までで推定10兆ドル以上になります。おそらく20兆ドルとか30兆ドルに損失は膨らんでいくことでしょう。新しいウイルスは、次々と発生することが推測されます。この予防にかかる費用は、200億~250億ドルといわれています。各国の動向とともに、WHOの動向にも注意を払っていきたいものです。自然からの驚異もありますが、人為的脅威も続いているのです
 内戦が続いた地域では、対人地雷が多く埋設されています。対人地雷は、人を大けがさせることが目的です。1人が地雷で負傷すると、仲間2人で肩を抱かなくてはなりません。
対人地雷の負傷は、3人の兵士の戦闘能力を減らすことになるのです。この地雷は、敵の戦闘能力を削ぐことが狙いになります。対人地雷は安いものだと、1個3ドル程度なので大量に敷設できてしまいます。でも、地雷を売ることが行われても、それを取り除くことまではしてくれません。戦争が終わると、犠牲者は兵士から住民に変わります。たとえば、カンボジアの地雷は、中国製やソ連製が多いのです。地雷除去の目的は、被害者を無くすことと、安全な土地を取り戻して地域を復興することになります。日本企業のコマツは、1998年ごろから地雷問題に取り組みはじめました。2002年に日本政府が、対人地雷除去機を輸出管理リストの規制から外しました。このころから、本格的に地雷除去に取り組んで、地元の人々に喜ばれています。
 対人地雷の非人道性や非生産性は、繰り返すまでもありません。新型コロナウイルスのパンデミックによる経済損失は、半年で深刻で10兆ドルと日本のGDPの2倍に上ります。新しい病原体が出てきた時は、集団感染の特定や診断法、治療法を模索します。初期の感染ルートやウイスの特徴を、WHOを中心に各国が共有しなければなりません。大規模感染が明らかになった2020年1月時点において、中国政府のこの感染症の情報公開が不十分だと各国から疑問が出ています。日本政府は、「初動に出遅れ」と「水際対策に失敗」し、国内に混乱を招きました。経済的な損失はもちろんですが、政府に対する国民の不信感が高まりました。経済力の低下や国民の不満は、ある面で、日本の安全保障の力が低下したことを示しているのです。感染源の中国は、十分な情報がなくても早期に発見し、隔離と治療を行って感染者と死者数を抑えたと胸を張っています。情報公開の不十分な中国は、ウイルスの情報を公開しないままワクチンを作りました。中国はこの1年間の短期間でワクチンを作り、「ワクチン外交」を優位に展開しています。ある意味で、新型コロナウイルスを利用して、国力を増強させたとも言えます。日本は新型コロナウイルスという地雷を踏んで、国民が負傷し、政治と経済が疲弊しているという構図になるかもしれません。
 一方、注目を集めたところもあります。中国に近く、人的交流も盛んな台湾が、コロナウイルスを封じ込めることができたのです。2020年1月21日に台湾国内で、初の感染者(武漢からの帰国者) が見つかりました。その後の経過を見ると、2020年5月20日までの台湾の感染者は440名、死者は7名です。5月20日の時点で、国内感染者は38日間連続で出ていなかったのです。台湾の成功は、中国やWHOの発表をうのみにせずに、感染症との戦いを「防疫戦争」とみなしたことにあるようです。台湾は、中国という隣国の恐怖を常時意識しながら、生きていかなければならない状況にあります。自国民の安全は、重要な政策になります。安全が守られなければ、中国からの揺さぶりが強くなり、国民の団結がそがれます。付け入るスキを与えてしまうことになります。韓国でも、北朝鮮からのバイオテロ、化学兵器での攻撃を想定した準備ができていました。いわゆる徴兵制があり、男子は細菌戦などに対するスキルを持っています。これらのスキルが、感染防止に有利に働いたようです。
 安全保障に関しては、各国とも厳しいルールがあります。スイスには、死刑制度はありません。でも、戦時において、国民の生命を危うくする者は全て死刑にする法律があります。戦時における素朴な人道主義や偽物の寛容は、罰則の対象になります。非常時では、食料や医療品の買い占めが全て処罰されるのです。当然、マスクの買い占めを行えば罰せられることになります。日本では、転売屋が現れ、ネットで高額マスクの販売が行われました。実は、台湾でも似たような現象は起きていたのです。でも、転売屋が現れてからの対応は、日本とは違って素早いものでした。マスクの輸出禁止、政府の一括購入、医療機関への優先配布、価格の高値つり上げ防止という処置を次々に短時間で行いました。日本は、人道や思いやりという美徳に従って、マスクや多くの防疫物資を他国に送り届ける行動を取りました。結果として、マスク不足を招いて国民の安全や健康を損なうことになったのです。台湾では、当たり前の「自国民の健康と安全が最優先である」の政策をとったのです。マスクの海外流出、不必要なマスク着用を防ぎながら、一方で増産体制を取ることを決め、それを官民一体で行いました。国民を守るという安全保障の考え方が、日本と世界ではズレがあるのかもしれません。
 安全保障の世界では、感染症の予防治療と生物兵器の開発はメダルの表と裏になります。軍事用と民生用のいずれにも使える「両面性」は、すべての科学技術に共通する点です。イギリスの回転ずしチェーンでは、店内の客に小型ドローンで商品を届けるサービスを行っています。ロシアではピザの宅配にヘリロボットが、時速40kmで空から届けることもあります。現在市売されているドローンにGPSをセットすれば、爆弾も化学兵器も、そして細菌兵器も運べる環境はできています。ロシア政府は、感染症を用いたテロを念頭に、エボラ出血熱問題に真剣に取り組んでいます。自爆テロリストが、エボラ出血熱にあえて感染し、人口密集地で死んだとすれば、感染は一挙に広がります。でも、ワクチンがあれば、感染を抑えることができます。世界は、感染と予防を安全保障の面から深刻に考えざるをえない状況に追い込まれているとも言えます。今回の新型コロナウイルスのパンデミックを見た時、経済的損失を受けて立ち直れない国々があります。一方で、経済的損失を最小限に抑え、経済的優位を獲得した中国があります。しかも、その原因であるウイルの情報を十分に公開しない中で、優位性を確保しているわけです。
 余談ですが、合成生物学を利用した生物兵器の開発を、世界で最初に実施したのは社会主義国のソ連でした。この国は、ペスト菌に人工的に作製したべネズエラ馬脳炎ウイルスの遺伝子を挿入し病原体を作ったのです。2つのまったく異なる病原体を組み合わせてより強力な病原体を作ったわけです。ベネズエラ馬脳炎ウイルスは、ヒトに容易に感染するウイルスでした。感染しやすく、抗生物質で病状が活性化する厄介な性質を持っていました。
この新病原体に感染した場合、ペストの治療で抗生物質を使えば、馬ウイルスが活性化し病状は悪化します。ペストの治療しない場合、モルモットのサルたちは死んでいきました。ペスト菌を治療すれば馬ウイルスが目覚め、治療しなければペストで死ぬというも生物兵器でした。この合成生物に感染した人は、死ぬという仮説的なシナリオをサルで実験をしたわけです。そして、その仮説の正しさを証明しました。人に感染する可能性がある63万種のウイルスが、人類の世界に侵入する可能性が高まっています。もし、人為的にこれらのウイルスが変異されることになれば、今回の新型コロナウイルス以上のパンデミックが起きることは容易に予測できます。WHOを中心に、人類の生命を守る仕組みを作ることが求められるようです。