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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」150

2019年06月14日 | 物語「約束の夜」


「ノギなら、さらわれちゃったわよ」

ヨシノさらり。

「さらわれっ!!?」
「ヨシノさらっと過ぎる!!」
「でも、もったいぶることでもないでしょう?」

うわぁああああ、と、息を吐くケヤ。

「さらわれちまったか、ついに」

「ついに!?」
「それ、どう云うこと!?」

「だから、俺が心配して見張っていたって!」

ケヤが云う。

「何かありそうだったんだよ」

「何かって」
「いったい何が?」

「だから、何かありそうな予感」

えぇええ。

「ノギは、お嫁さん探しの旅に出ようとしていたじゃない」
ヨシノは首を傾げる。
「それのこと?」
「いや、そうじゃなくてだな」
「砂一族だって、村外に出るのは自由でしょう?」
「それはそうだけど。もっと危険と云うか、さ」
「よく判らないわ」

「だから予感だって!」

同じ一族であるノギに悪いことが起きそうな

「なんだろう、こう。・・・男の勘?」

「キモイ・・・」

「キモイ、とはっ!!」

ケヤくん、カッ!!

「落ち着こう、みんな!!」

ツイナが立ち上がる。

「今からどうするかを、考えなきゃ!!」
「ツイナ!!」

ヨシノのパスペ(パーソナルスペース)ゼロが発動。

「そうよね、ツイナ! かっこいい!!」
「おぉおお、ヨシノ!」
「そうだな、前回の話では、ずいぶんと妄想していたようだが」
「ふふ、やらしい、とかね!」
「その話はめっ!!」

ツイナは立ち上がる。(2回目)

「まずは、今、どうしたらいい、ケヤ!?」

「さっそく、ふったね」

ケヤが云う。

「移動するべきか、野宿するべきか、だろう?」
「そう」
「楽器とか奏でたいわ~」
「いや、ヨシノ。それメインじゃないから」

ケヤはあたりを見る。

「ひとまず、野宿。日が昇り次第、移動」

それが妥当であろう。

「きゃぁ、楽しみ~」

ヨシノは手を握る。

「BBQに、食後のコーヒー、星空を見ながら☆」
「楽器の演奏付きで?」

それ、キャンプじゃん。

「そして、やらしいことがぁああああ!」

「おいおい、大丈夫かよ、海一族」

ツイナ、本当にどうした。

「ちょっとほっておくか」

ケヤは自分の荷物を取り出し、手際よく、火を起こす。

小さいフライパンで、目玉焼き。
食パンを取り出し、ふたりに配る。

「まずは、お腹を満たす」

目玉焼きにはお好みで、と、謎のスパイスも取り出す。

「毒か」
「毒よね」

「失礼だな。元気なる薬と云え」

「元気になるって、いったいどこが」
「今から仮眠するのに、元気になる必要ある?」

3人は食事をとる。

3人の周囲には、ぐるりと、線が引いてある。

簡単な魔法。

「いわゆる、防御線と云うか」
「猛獣から身を守る、とかかしら」
「そう云うこと」

ケヤはスープを飲む。

「この中にいれば、猛獣に気付かれない」
「やっぱり、何かいるのか砂漠には・・・」

ここに来ての、新しい設定なり。

「でも、見回りの東一族には無理だわな」
ケヤが云う。
「東一族からは逃れられないよ」

「東、」
「一族・・・」

「夜の砂漠当番さんには、何も意味ないから、これ」

「なんてこったい」
「でも、なぜ、東一族に狙われるの?」

「ん~。なんでだろうねぇ」

「そして、やらしいことが!!」
「ツイナ、いつまでやらしさを求めているの?」
「だって見て! この男女比!!」
「・・・男女比?」
「2体1だよ!!」
「・・・ツイナ」
「ヨシノは、俺とケヤだったら、!!」
「それは砂先生の、ケヤよね」

ごーーーーーん。

そのやり取りを、ケヤは遠い目で見る。

さっと毛布を取り出す。
ふたりに渡す。

「ほら、冷えるから」

「ありがたいわ~」

3人は、毛布にくるまる。

朝になるのを、待つ。



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