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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」130

2019年03月01日 | 物語「約束の夜」


「何よ」

美和子が呟く。

「いったい、あなたは何? 京子にそこまでするほどの関係?」
「先ほども答えただろう。俺は京子の守り役だ、と」

京子はチドリを見る。

「ふん。守り役、ね」

美和子は、息を吐く。

「どうせ、この魔法が解除されるのも、時間の問題」

云いながら、美和子は、外の方を見ている。
おそらく
美和子の仲間・・・裏一族が外から解除試みているのだろう。

「そう簡単に行くかな?」
「裏一族をなめないでほしいわ」

裏一族の魔法技術は、常識の範囲を超えているとも。

「いいでしょ。そう時間はかからないわ」

美和子は、京子とチドリに向く。

「京子に、守り役さん。知りたいのね、耀のこと」
「もちろんよ!」
「耀の、一体何を知りたいの?」
「お兄ちゃんがどこで何をしているのかよ!」

京子は云う。

「美和子。この北の村で、お兄ちゃんと一緒にいたんでしょう!?」
「あら、それ知っているの?」

あははと、美和子が笑う。

「もちろんよ! この北での情報なんだから!」
「そりゃそうよね」

笑いながら、美和子は口元に手をやる。

「見られるように。あなたに情報が行くように、やったんだもの」
「・・・え?」
「耀と一緒に、この北を私が動いたこと」
「つまり」

チドリが云う。

「京子をおびき出すために?」

美和子は答えない。
ただ、笑顔のまま。

「でも、お兄ちゃんはそれから谷一族の村へ向かったって」
「そう情報が届くようにしたんだもの」

京子の目が見開く。

「そうすれば、あなたたち、別行動をするでしょ」

「・・・・・・」

「さっき聞いたわよね。ほかのふたりはどうしたの?」

「それは、つまり。満樹とツイナがここにいなくて、がっかりとか・・・」

「と、云うよりも、予定通り、力が分散して助かるわってこと」

「まさか・・・」

すべて

すべてが、裏一族の思い通り、とは。

「京子」

チドリが、京子の肩に手をやる。
頷く。

心配するな、と。

「チドリ・・・」

「せいぜい、がっかりした京子を慰めることね。守り役さん」

「がっかりなんかっ!」

京子は云う。

このチドリの魔法もいつ解除されるか判らない。

このまま、裏一族に襲われてしまうのか。
美和子をまた、逃がすのか。

「お兄ちゃんはっ、今っ」

「まあ、耀も忙しそうよ」

京子が云い終わる前に、美和子が云う。

「何に、とは云えないけど」
「忙しそうって・・・」
「目的のために、ね」
「お兄ちゃんは、今はどこに!?」
「さあ~、どこかしらねー??」

美和子は再度笑う。

「ねえ、守り役さん」

何かの音。

チドリは、あたりを見る。

「そろそろ、か」
「え、もしや・・・。解除?」
「大丈夫だって、京子。俺はお前の守り役なんだから」
「・・・チドリ」

「ねえ、京子」

美和子が一歩、下がる。

「ほら、手のひら」

「え?」

「気付いてはいるだろうけど、すごく大切な目印なの」

「めじる、し?」

「魔法で体に組み込まれた、アザ。だからね」
「魔法??」

京子は、思わず、自身の手のひらを見る。

「京子と一緒に来たんだから、アザがある者かと思ったけど」

チドリは目を細める。

「あなたにはないのね、守り役さん」
「何のことだ」
「ふふ」
「アザがあろうとなかろうと、俺は守り役として、京子を守る」
「あら。素敵ね」

美和子はさらに一歩下がる。
チドリは、杖を握りしめる。

・・・と云うか、

京子はひとり、思う。

さっきから連呼してる、その守り役って。

なんか、・・・ねぇ。



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