「ティッシュは持ったのか!」
「持った!」
「ハンカチは!」
「持ったよ!」
「もし迷子になったら!」
「海一族のツイナです! 迷子になりました!」
「よし!!」
「・・・・・・」
「・・・何これ」
手土産に、と、海一族特製保存食を
荷物にならない程度にもらい、
さあ、山一族の村へと旅立つぞ、と云うところ。
やっと、海一族の村の外れに来て、
んで
もう一度、ミツグの荷物チェックがはじまる。
「ティッシュは持ったのか!」
「もうよくない~」
あきれたように、京子が云う。
「よくなくない!!」
「よくなくなくないわよ!!」
「旅立つことがどんなに大変か判っているのか!」
「もう、うんざり! ザ・うんざり!!」
くるり、と、京子がツイナの手を引く。
「行きましょう!」
「おう!」
ツイナは手を振る。
「行ってくる、兄さん!」
「ツイナ、」
「お世話になりました」
満樹が、手を合わせる。
ミツグは、ちらりと、満樹を見て頷く。
満樹も頷き返す。
その様子に、京子とツイナは首を傾げる。
3人は歩き出す。
「ツイナ・・・」
「手のひらにアザがあるズ、旅立ちだぜ~!(ツイナ)」
「まだ云ってる・・・」
ちょっと、忘れてた。
しばらく歩いて、
海一族の村は見えなくなる。
3人が歩く道には、誰もいない。
山へと延びる道
辺りは、木々で覆われてくる。
ツイナが云う。
「なあ、兄さん」
「満樹でいいよ」
「さっき、ミツグ兄さんと何を確認したんだ?」
「確認?」
「ふたりでアイコンタクトと云うかさぁ」
「ああ、あれか」
満樹は立ち止まる。
「むしろ、京子とツイナに確認しろ、って意味だろ?」
「私たちに?」
「確認?」
何を? と、京子とツイナは顔を見合わせる。
「うん、ほら、あれだ」
満樹は少し間を空けて、云う。
「水辺ノ8一族は、特に隣接し合っている一族同士、摩擦が多いだろ?」
「うん??」
「仲が悪い、と云うか」
「まあ、」
「そうよね」
で、冷静に考えた結果。
「西一族の京子」
「はい」
「海一族のツイナ」
「ほい」
「お前ら、山一族の村へ向かって大丈夫なのか?」
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