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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」50

2018年03月09日 | 物語「約束の夜」

「ティッシュは持ったのか!」

「持った!」

「ハンカチは!」

「持ったよ!」

「もし迷子になったら!」

「海一族のツイナです! 迷子になりました!」

「よし!!」

「・・・・・・」
「・・・何これ」

手土産に、と、海一族特製保存食を
荷物にならない程度にもらい、
さあ、山一族の村へと旅立つぞ、と云うところ。

やっと、海一族の村の外れに来て、
んで
もう一度、ミツグの荷物チェックがはじまる。

「ティッシュは持ったのか!」
「もうよくない~」

あきれたように、京子が云う。

「よくなくない!!」
「よくなくなくないわよ!!」
「旅立つことがどんなに大変か判っているのか!」
「もう、うんざり! ザ・うんざり!!」

くるり、と、京子がツイナの手を引く。

「行きましょう!」
「おう!」

ツイナは手を振る。

「行ってくる、兄さん!」

「ツイナ、」

「お世話になりました」

満樹が、手を合わせる。

ミツグは、ちらりと、満樹を見て頷く。
満樹も頷き返す。

その様子に、京子とツイナは首を傾げる。

3人は歩き出す。

「ツイナ・・・」

「手のひらにアザがあるズ、旅立ちだぜ~!(ツイナ)」

「まだ云ってる・・・」

ちょっと、忘れてた。

しばらく歩いて、

海一族の村は見えなくなる。
3人が歩く道には、誰もいない。

山へと延びる道

辺りは、木々で覆われてくる。

ツイナが云う。

「なあ、兄さん」
「満樹でいいよ」
「さっき、ミツグ兄さんと何を確認したんだ?」
「確認?」
「ふたりでアイコンタクトと云うかさぁ」

「ああ、あれか」

満樹は立ち止まる。

「むしろ、京子とツイナに確認しろ、って意味だろ?」

「私たちに?」
「確認?」

何を? と、京子とツイナは顔を見合わせる。

「うん、ほら、あれだ」

満樹は少し間を空けて、云う。

「水辺ノ8一族は、特に隣接し合っている一族同士、摩擦が多いだろ?」
「うん??」
「仲が悪い、と云うか」
「まあ、」
「そうよね」

で、冷静に考えた結果。

「西一族の京子」
「はい」
「海一族のツイナ」
「ほい」

「お前ら、山一族の村へ向かって大丈夫なのか?」



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