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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「夢幻章伝」42

2015年06月23日 | 物語「夢幻章伝」

「まったく、もう!!」

ひゅおおおおおおおおお!!

吹き荒れる砂嵐の中、
へび呼ロイドはため息をつく。

「みんな、はぐれちゃうってどういう事!!」

違います、へび呼ロイドが1人(?)だけ
はぐれているのです。

「みんな、きっと
 不安でいっぱいに違いない」

早く谷一族の村についてゆっくりしたいと言っていたし、
仕方ないなぁ、と、
へび呼ロイドはやれやれなポーズを取る。

「おいら達がちゃんと
 見つけてあげるから」

キュイーン、と
へび部分で赤外線的な何かを駆使し始める。

「待っていて、みんな!!!」


そして、その頃。
アヅチとマツバは。


「ここが、谷一族の村」

谷一族の村に来ていた。

「砂漠や砂嵐の中
 闇雲に歩き回っても仕方ないしな!!」
「へび呼ロイドもきっと
 ここを目指してくるはずよ。
 到着地で待つのよ!!」

2人はやけに説明的だった。

早く村で休みたい、とか、
きっとへび呼ロイドなら上手くやってるさ、とか
とりあえず、お腹空いた、とか
ふかふかベッドで眠りたい、とか

決してそんな事ではないです。

「谷一族の……村」
「ぴぎゃ!!」

道案内は、
へび呼ロイドの同僚という分子(という名前の何か)達。


仲間なのかいまいち怪しいポジションだが
なぜアヅチに懐いているのか、
俺の親か家族に恩人でもいるのか?
そう思うアヅチだが、

それは、まぁ、置いといて。

「村……?」
「ぴぎゃ!!」

同僚達が指し示す、そこには、

「谷……ねぇ」
「名前の通り谷だな」
「さすが谷一族」
「というか」

大きな谷がそこにあり、
谷の間を激しく風が吹き荒れる。

「谷しかない??」

人が住んでいる様子が全く無い。

動いている物と言えば
荒野でゴロゴロ転がっている
あの草(ロシアアザミ)ぐらいしか。

「まさか俺たち
 こいつら(同僚達)にはめられた訳じゃなかろうな」

ギャーズンの手下という彼らに
上手く誘導されたのかもしれない。

「そういう可能性もあるけど、
 待って!!」

マツバが同僚達に耳を傾ける。

「ぴぎゃぴぎゃ!!」

「え?なに?ふむふむ?
 自分たちを信じてついてきて欲しい
 ―――と言っているわ」

マツバが通訳をやってのける。

「お前、
 何の語学検定持ってんだよ?」
「そういうあんたこそ
 何の動物トレーナーなのよ?」

かたや通訳ができ、
かたや妙に懐かれている。

恐るべきは南一族かもしれない。

ふわふわ、と同僚達に誘導され
2人は谷を降りていく。

「……これ、穴?」

近くに来ると、
谷の岩肌に大きな横穴が

「そういうことか」

2人が同僚に続きそこに入ると
その中に沢山の人と洞窟をくりぬいて作ったであろう家が広がる。
谷一族の村は洞窟の中、という事らしい。

「すげぇ」

洞窟の中とは思えない広い空間に
家の他に、集落やお店が広がっている。
広場の中心には噴水が吹き出て
灯りも灯され、洞窟の中とは思えない明るさ。

「だぁれ?お客さん?」

小さな女の子が2人に気がつき
物陰から声を掛けてくる。

「そうよ、
 ねぇ、お宿はどこにあるの?」

マツバは尋ねる。
お宿、大事!!
お代は、きっと、あとから来るであろう
へび呼ロイドが。

見慣れない南一族に驚いたのか
それとも、マツバの勢いに押されたのか
いやいや、
見慣れないふわふわした生き物をまとっている
アヅチに怯えたのか

その子はうわぁああん、と
走り去っていく。

「とのにいさまーーーーー!!」

「………」
「………」

「「殿???」」

2人の頭の中の漢字変換は
完全にそれであったとな。



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