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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」192

2020年01月24日 | 物語「約束の夜」
文子は予定よりも少し早く、女の子を産む。
そのためか、
珍しく彼が側に居た。

「ふぅん」

文子に抱えられたその子を
まじまじと彼は見つめる。

「生んだわよ、どうじゃい!!」
「………産後ハイというやつか」

君、大丈夫なの、と聞かれて
大丈夫じゃーい、と答える文子に
あんまり大丈夫じゃないかもなぁ、と
彼は若干引き気味になる。

「うへへ」
「………ちょっと待って、
 医師を呼んでくる」
「そう言うのじゃ無いのよ」

文子、声が大きい。

「なんだかね、
 珍しい所見れたな、と思って」

彼の素、なのだろうか。

まだ生まれたばかりで
首も据わらない、
ふにゃふにゃのその子を彼は
珍しそうに見つめる。

「生まれたてってこうなんだな」

初めて見た、と言う。

「そうね、耀の時は
 もう首も据わってからしか会ってないものね」
「そうだな
 いつも俺は居ないからな」

そっと、彼はその子の手のひらを見る。

「………うん」

彼が見つめる視線の先を
同じ様に文子も追って気がつく。

「あ、手のひらのアザ。
 この子にもあるのね」

耀と一緒だわ、と言う文子に、
彼は自分の手のひらを見せる。

「ほら」

「あ、れ、あなたにもあったのね」

そうだったけ、
気がつかなかったな、という文子に、
彼は言う。

「俺の血を継いでいる、という事だな」

2番目に生まれた子は女の子で
京子と名付けられる。


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