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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「夢幻章伝」14

2015年02月24日 | 物語「夢幻章伝」

「「ま、魔法!!!」」

ナギサとシオリが、なんだってー!!という声を上げる。
この世界は魔法が使える設定のようです。

「魔法、久しぶりに見るわ~」
「南一族の魔法はスケールがでかいっていうよな」
「こっち(海一族)じゃ、
 あまり使える人が居ないからね」
「いない訳じゃないんだけど、
 こう、ほわっとしか使えないんだよな。ほわっと」

言いながらも、
ナギサはそこら辺にブルーシートを広げ始める。

ヘイマスターとシオリはお店の中から
飲み物と軽食を運び、横並びに3人腰を下ろす。

「「「楽しみ~」」」

お祭り感覚!!!!

「行くわよアヅチ。
 ガードは任せた」
「おう」

マツバの言葉に頷き、アヅチは懐から大きな針を取り出す。
普段は南一族特産の大きな豆をさやから取り出すときに使う
農作業用の針だよ。

「ハエ叩きの方が早くね!!?」

ナギサがツッコミの声を上げる。

「いや、そもそもあれ
 おいら達の同僚なんで、退治するとか、そういうの」

へび呼ロイドは同僚の危機を感じ取るが、
アヅチは任せろと頼もしい笑みを見せる。

「大丈夫だ、俺にとっては
 こっちの方が使い慣れている!!」

命中率も抜群です。

「同僚、大丈夫じゃないよね!!??」

へび呼ロイドの心配をよそに
マツバは静かに、だけどやたらドスの利いた呪文を唱え始める。
その声はナギサ達の所まで届く。

「なんて言ってるのか、良く聞こえないな」
「魔法言語?なのかしら」

「あぁ、それは」

アヅチは説明役を買って出る。

「俺たち南一族の魔法呪文は
 それなりに恥ずかしい呪文なんで、
 聞き取れないくらい早口で言っているだけだ」

は、恥ずかしい呪文!!

「漆黒のとか、我は願う、とか
 この右腕に宿りし、とか!!」

「い、いや-!!」
「すげぇ、とても真似できない!!」

ナギサとシオリは青ざめる。

「だから、魔法を使えるのは
 思春期まっただ中の若者だけ、と言う訳か」

ヘイマスターも解説に加わる。
いい年した大人は、黒歴史になるんで使えない。
使わない。

「ちなみに俺の親父は使える!!」

アヅチ父。アスカ現在40歳。
3人の子持ち(アヅチは末っ子)
ちなみにヘイマスターは36歳です。

「まったく恐るべきは南一族」

ヘイマスターはへび呼ロイドに感嘆のため息をもらす。

「適当な様で居て
 きちんとした人選をしていたという訳か」

「あ、いやそんなつもりは」

へび呼ロイドは語尾が小さくなった。

「というか、あの、同僚達は恐らく
 ギャーズンに操られているだけなんで!!」

退治とかちょっと

と言いかけたへび呼ロイドの声に重なる様に
マツバの詠唱が終わる。

「くらえ!!」
「同僚ゥウウ―ッツ!!!?」

マツバ叫びと同時に巨大な竜巻が巻き起こる。
その風に吸い込まれていく同僚達。

ふわふわと漂う同僚達が竜巻の中心に飲み込まれていくその様は

「まさに、これぞ、吸引力の変わらない」
「ただ、ひとつの」
「言わせない、言わせないぞー!!!」

へび呼ロイドは、同僚の心配をしつつも
あっちこっちにツッコミを入れている。大変だ。

「安心なさい、へび呼ロイド」

ひと魔法ぶっぱなして、
なんだか大仕事終えた感のマツバは
いい感じのきりっとした表情で言う。

「掃除機でうっかり吸い込んでしまった物は
 消えないのよ。
 ただ、ゴミフィルターに溜まるだけ!!」

へび呼ロイドは、
マツバッ、と声を震わせる。

「そもそも、うっかりではないとういか
 単純に、掃除機って言いたかっただけだよね」



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