TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」10

2017年08月18日 | 物語「約束の夜」

東一族の現大将とふたり。

向かい合う。

大将が地図を広げる。

「どこへ向かうつもりだ」

満樹は、地図を指さす。

「北へ」
「そうか」

大将は頷く。
同じように、地図を指さす。

「このあたりを押えてこい」
「判りました」

「それにしても厄介だ」

大将は息を吐く。

東一族と相反する、西一族と砂一族。
今は状況も落ち着いていて、互いに動きはない。

ないはず、なのだ。

それなのに

「何者かが、東を窺っている」
「東の中で、それに気付いている者も何人かいます」
「一度、戦術師の皆を集めて話をしよう」

大将が云う。

「何かしら他一族との接触が多くなると、病が流行る可能性もある」
「病?」
「うちの一族ならではの話だ」

満樹は地図を見る。

「北一族の村で情報がなければ、戻ってこい」
「いや」

満樹は首を振る。

「そのまま、谷一族の村へ向かうつもりです」
「無理はするな」
「無理ではないので」

大将は満樹を見る。

「なら、情報確認だ」

云う。

「戻ってこい」
「大将・・・」
「命令だ」
「・・・・・・」

満樹は、外へと出る。

歩く。

村のはずれまで来て、空を見る。

夜空。

けれども、星は見えない。
月も、見えない。

雲が、夜空を覆っている。

辺りは、闇。

満樹は、持っている刀を鞘に納めたまま、地面へ向ける。
法則を持った模様を描く。

東一族の紋章術。

満樹は、それを見る。

闇。

何も

起こらない。

満樹は歩き出す。

闇の中へ、姿を消す。



NEXT

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。