TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」101

2018年09月25日 | 物語「約束の夜」


「いやぁ、食べたね!!」

満腹満腹、とツイナ。

「暫くは、お肉遠慮してよいかも」

うぷっと、京子。

「西一族の京子がそれ程まで」
「ほら、バイキングで
 元を取り戻すぞってついつい
 お皿に盛り過ぎちゃうやつに似ている」
「次は食べられるだけって
 思いつつも繰り返す」
「バイキングあるある」

「そうだな、腹は八分で止めるべきだな」

「え?」
「え?」
「え??」

食べてない満樹がそれ言う、という
目線を京子とツイナが送る。

「いや、京子はデザートに
 アイスクリーム食べてただろ」
「あれは別腹枠」

入っていく所が違うんです、と
京子が言いつつ腰掛けたのは
本日のホテルのソファ。

「それで」

男子部屋に京子がお邪魔して
本日の会議。

「みんな、何か情報はあった?」

「……………」
「……あ、マーケッツ!!」

「そうよね、特に
 めぼしい情報はない、か」

「マーケッツ!!!」

「…………」
「満樹、何かあった?」
「いや」

「マーケッツ!!!」

「そう、気になることがあったら
 ちゃんと言ってね」
「そういう京子はどうなんだ?
 出自を調べろと言っただろ」
「うーん」

「マッツ」

「山一族の与篠の事で
 もしかしたら、皆
 他一族との混血、なのかなって思ったのだけど」

「マ」

「行方知れずの私の父親。調べたら西一族だったわ。
 だから、この予想はハズレなのかも」
「京子の父親は、西一族、か」
「え、何か引っかかる?」
「いや、うーん」
「翼って名前なのだけど」
「………翼」


と、そこで、会話を区切りつつ
ツイナを見る2人。

「まぁまぁ落ち着いてツイナ」
「そうだ、
 その呪いをかけようとしている
 道具をそっとしまうんだ」

「だって、
 俺の情報も聞いてよ」

ぶーぶー、と
謎の呪術グッズをしまうツイナ。

「俺の予想では
 裏一族の秘密のアジトがマーケッツ
 つまり北一族のどこかにあるのではと」

うん、それは、と
頷く満樹。

「そうだと噂されているよな」
「そうなの!!?」

周知の事実。

「各一族から集まった
 はぐれ者達の集まり、なら
 一番忍びやすいのはこの北一族の村よね」

だから、集合場所
北一族の村にしようと言った訳で。

「………俺の情報が」

正確には海一族の司祭様。

「私達が狙われている理由は
 まだ、あいまいなままだけど」
「そもそも、
 裏一族とのケリをつける事も
 大事な訳で」
「また、裏一族の捜索ってわけだね」
「そういう事だ」

あふ、と
京子のあくびをみて
満樹が言う。

「よし、今日はそろそろ休もう。
 明日は市場の捜索から、だな」
「そうね、おやすみ」
「おやすみ京子」

それじゃあ、と
京子は自分の部屋に帰っていく。

「いよいよ、眠るぞ俺は」

確か数日寝てない満樹は
そのままフラフラとベッドへと歩いて行く。

「あぁあ、有力な情報は、なし、か」
「まぁ、別の手段で探りを入れていこう」

それぞれのベッドに潜り込み
それじゃおやすみ、
電気消すぞ、と
部屋の灯りが暗くなる。

もう、速攻で睡魔に襲われて
三秒で寝ます、な満樹が
眠りに就かんとしているその時。

そうそう、とツイナが言う。

「そういえば、
 俺の父親って、もしかして他一族かもなんだよね」
「………そうか、うん」

がばーっと起き上がる、満樹。

「そういうことは
 マーケッツより先に言え!!!」



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