「と、云うわけで~」
口の中いっぱいに肉をほお張り、ツイナはもごもごする。
「まひふぁひふぁひふぉむらふぇひそがふぃかったんだお~」
「ほぼほぼ判らないんだけど」
「ほぼほぼ判らないな」
ごっくん、と、ツイナは肉を飲み込む。
「だから満樹は忙しかったんだって!」
ツイナが云う。
「なんか、東のツトメ、とか。川遊び、とか」
「川遊びですって!?」
「ほぼほぼ寝てないよね?」
「まあ」
息を吐き、満樹は京子を見る。
「実家に帰っても、結局は忙しいと云うか・・・」
満樹は明らかに疲れている!
「でも、京子もだろう?」
「え? 私?」
「京子だって西に帰れば、狩りとか仕事があるんだろう?」
ゆっくり出来ないよな、と満樹の顔が云っている。
京子は、あわてて肉をほお張る。
「ふぇえ、まは、ほうね!!」
「ほぼほぼ判らないんだけど」
「ほぼほぼ判らないな」
京子はもごもご何か云って、
「ほひふぁく、」
肉を飲み込む。
「明日からは真面目に情報を探しましょう!」
「もちろん!」
「明日から!!」
「とりあえずは・・・」
京子と満樹とツイナは、ちらりと、テーブルの横を見る。
「これ、食べ終わらなきゃだな!」
北一族の露店にて。
京子への詫びと、3人の再会を記念して
大奮発した、注文。
「豚の、」
「丸焼き!!」
1匹買いです!
「いやあ、インスタ映えだね!」
と、ツイナ。
「運ばれてきた瞬間、盛り上がったわね!」
と、京子。
「金額もすごい」
と、満樹。
豚の丸焼きには、祝☆約束の夜100回、の旗。
「これ・・・」
「ええ・・・」
「食べきれるのか・・・?」
豚の丸焼きです。
すごいです。
大きいです。
実質食べているのは、ふたりです。
いろいろと調味料をもらい、
味を変えてはいるものの、
ふたりは飽きている&そもそも、お腹いっぱい。
「インスタ映えは間違えないんだけど!」
「ツイナ、そのセリフ2回目!」
「お残しはよくないぞ」
満樹が云う。
「豚の丸焼きと云うと、モンハ●みたいなものを想像するだろう」
「モン●ン!」
「モ●ハン!!」
「だが、生のものから、中まで火を通すまで、ずっと回していられるか!?」
「あの、足をくるくるっとして」
「焚火の上で、ハンドルをぐるぐる回しているやつ!!」
「えらいな時間がかかるぞ!」
「やばい!」
「筋肉痛!!」
「その労力を思えば」
「残すわけには」
「いかない!!」
3人は互いに見る。
頷く。
「「「がんばろう!!」」」
完食を。
「って、満樹は食べていないし!」
満樹は、添えられたミニサラダを食べている。
「仕方ない」
満樹が云う。
「こうなったら、みんなに奮発しよう」
これ、俺達からのおごりです、って
お客さん同士で、和気あいあいと食べきる作戦。
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