杏子は外を見る。
いつの間にか、また、季節が変わろうとしている。
「ほら、寒くなると、鳥たちもいなくなってしまうわ」
杏子はマツバを抱き、外を見せる。
真都葉は外を見つめる。
「淋しくなるわね」
圭はその様子を見る。
杏子は窓を閉める。
「寒くなってきたわ」
圭は、暖炉の手入れをする。
それが終わると、杏子は、薪を並べる。
「さあ、真都葉、火を点けるわよ」
暖炉に、ほのかな明かりがともる。
それを見て、真都葉が笑う。
「真都葉、あったかい?」
圭の問いに、杏子が答える。
「あったかいわよね、真都葉」
杏子は立ち上がる。
「この火でスープを作りましょう」
杏子は、真都葉を敷物の上に寝かせる。
真都葉は寝返りをしたり、
圭が作った木のおもちゃを持ったりして、遊びだす。
「さあ、真都葉、待っていてね」
杏子は台所へ行く。
圭は、暖炉を手入れした道具を片付ける。
「ねえ、圭」
杏子は圭を呼ぶ。
「今日は、このお肉でいいかしら」
「ああ、うん。そうだね」
「小麦をこねて、真都葉も食べられるようにしようかと思うんだけど」
「いいと思うよ」
会話が終わると、圭は再度、道具を片付けに外に出る。
杏子は、鍋にスープを準備する。
それが終わると、暖炉に鍋を運ぶ。
真都葉を見る。
「あら?」
「杏子? どうかした?」
圭が中へ戻ってくる。
「真都葉が・・・」
「真都葉が?」
杏子は首を傾げる。
「さっき、この場所に寝かせたと思ったけれど、」
真都葉は、杏子が指をさす方向とは違う方向にいる。
「真都葉?」
杏子の言葉に、真都葉は笑う。
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