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TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「夢幻章伝」78

2015年11月17日 | 物語「夢幻章伝」

「オギャァアアアアアアア」

谷一族の秘宝
懐中電灯の光に苦しむ、ギャーズン。

「いくらなんでも」

マツバ、思わず
懐中電灯のスイッチオフ。

「はぁ。はぁ。
 ふはは、こんなの効かないのだ」

マツバ、スイッチオン。

「オギャァアアアアアアア」

何となく、心なし、
ギャーズンの体が縮んでいるような。
というか溶けているような。

「ヘドロっぽいから
 光に弱いのかしら?」

ええーい、と
マツバは光をまんべんなく当てていく。

「アヅチ、もうちょっとの辛抱よ」

が、何だかじんわりと
懐中電灯の光が弱まっていく。

「え?ちょっと、どうしたのよ?」

バンバンと
マツバはためらいなく懐中電灯を叩く。

「ふはは、電池切れのようだな」

やったぜ、とアリー。
じわじわと光は弱まっていく。

電球は保っても、電池は無くなっていたのか。
というか、秘宝って、これ
いつからある品なのか?
液漏れが心配。

「へび呼ロイド、
 換えの電池持ってない?
 単2電池か単3電池だと思うのだけど??」
「えええ?
 急に言われても、
 ええっと、えええっと」

懐の謎空間をがさがさと探る
へび呼ロイド。

「うええええ、マツバ
 単4電池と
 サイズ間違えて買ってしまい
 使い処を無くしたボタン電池しかないよ~」
「本当に使い処が無いわね!!
 単4が入らないかしら?
 くっ、取り出し口どこよ?」

電灯をあちこちひねっていたマツバは
一つの取っ手に気がつく。

「これは、まさか、
 電池じゃなく、ダイナモ式!!!」

要するに、
手巻き発電式懐中電灯。
災害時にとても役に立ちます。

「…………」
「…………あぁあ」

遂に消えてしまう灯り。

「まっ、巻くしかないよ、マツバ!!!」
「もうっ、この、あわただしい、時に!!」

うおおおおお、と
手巻き式発電をグルグル回すマツバ

ジーワ、ジーワ、ジーワ、ジーワ(発電中)。

「背中が甘いっ!!」

攻撃の手が緩んだこの瞬間を
敵が見逃すはずがない。
飛び出せアリーが、マツバに飛びかかる。

「しまった!!」

背後を取られたマツバは
思わず目を瞑る。

「昨日よりも遠いもの…明日より近いもの……
 移動魔法!!!!!」

突然、マツバとアリーの間にアヅチが現れる。

「おい小僧、
 さっきのお返しだ、
 もう手加減しないからな、
 行くぞ―――範囲限定魔法!!」

「んぎゃっ!!」

アヅチの攻撃魔法で吹き飛ばされる小僧。

「どーだ」

アヅチはゲホッと咳き込みながらも
小僧と対峙する。

「あ、アヅ」
「アヅチィイイイイイ!!!」

うわぁあああ、と
アヅチに飛びつくへび呼ロイド。

今のはマツバが飛びつくところだったのに
余計なことしやがって、と
アヅチ兄モモヤが見ていたら舌打ちしていただろう。

「大丈夫?
 大丈夫なのアヅチィイイ??」

「大丈夫だ、
 ちょっとギャーズンを飲み込んだけど」
(ちょっと水飲んじゃったけどのニュアンスで)

「……飲み」
「……こんだ」

にわかにどん引きのマツバ&へび呼ロイド。
毒とか無いの?
体調に影響とか無いの?

「ああ!!」

これぐらい、どうってことないぜ、と
アヅチは言う。

「なんか、寒天の味がしたぜ!!」
「止めなさいよ!!
 次、寒天食べる時、
 思い出しちゃうじゃない!!」
 
見た目に反して
美味しいのかギャーズン??


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