TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「夢幻章伝」74

2015年11月03日 | 物語「夢幻章伝」

「サッカーボールがシャベッタァアアア!!!」

ぎゃーーー、と
へび呼ロイドが叫ぶ。

「なにあれ、どういうことなのぉおお!!
 手足がはえて、喋ったよ、ボールがぁあ!!」

あわわわわ、と
パニックに陥るへび呼ロイドをアヅチとマツバが見つめる。



うん。
もう、つっこむのも面倒くさい。

「行くナリ、三つ目の小僧」

弟子(サッカーボール)のかけ声に
うううん?と
アヅチ達がアリーをちゃんとよく見る。

前髪の隙間から覗く
三番目の目。

脳裏には、谷一族を訪れたときの
トウノの言葉がよみがえる。

『谷一族の主な外見的特徴は額の丸い入れ墨。
 これは我々の祖先が三つ目であったという事に由来しています。
 まぁ、言い伝えなので、実際は違うと思いますけど』

「本当だったのかーー!!」

というか、

「お前、谷一族で
 俺にぶつかってきたやつだな!!」

アヅチは良く当て逃げに会います。

「おうともよ!!」

どーん、と
小高い岩の上に飛び乗り
ぐっと親指を立てる。

「最近東一族に
 拙者の偽物が居ると言うが
 正真正銘公認の『飛び出せ小僧』は
 拙者なりーーー!!!」


「ぶぇっくしゅ!!あー、へぶっほぅっ!!」
「うわっ、リク様、そのくしゃみおっさんくさ」
「なんか、僕、噂されてるのかな~、うへへ」


一瞬、映像が乱れて、東一族が映りましたが
舞台はアヅチ達に戻ります。

「もしかしたら
 谷一族を治める長の家系は
 本当に三つ目なのかもしれないわね」

マツバは言う。

「と言うことがあいつが本当の
 殿兄様、だったりするのかも、拙者とか言っているし」

「そんな、高貴な拙者の足が
 お主達のせいで負傷を負ったのだぞ
 金を払う気が無いのなら覚悟致せ!!
 弟子よ、判定は!!」
弟子(サッカーボール)の口から赤いカードが。
「レッドカード!!」

「退場、其れ、乃ち死なり!!」

アリーがそのカードをアヅチに投げつける。
アヅチはかわす…が。頬から血が流れる。

「あれ、避けたはずなのに」

「遅いっ!!」

と、いつの間にかアヅチの背後に回っていた小僧が
アヅチの背中を思いっきり蹴る。

足。ぴんぴんしている!!

「ってかもしや、こいつ強い!!」

マツバも援護体勢に入る。

散々ここまで小出しにしてきた
『飛び出せ注意』とは
こいつのことだったのか。

「仕方ない、ちょっと黙って貰おうかしら」

マツバは超早口で呪文を唱え始める。
お得意の南一族式魔法。
一応気を使って、攻撃ではなく補助魔法で。

「魔法はやっかいなり
 弟子!!」
「イエス」

弟子(サッカーボール)が口から出した
カードが次々投げつけられる。

「それそれぃ!!」
「痛っ!!(怒)」
「このガキ!!」

アヅチが武器で対応するが
あっさりと避けられる。

これはなんだか、
予想以上だ。

「そもそも、なんで私たち
 こんなのに絡まれているのよ」
「はっきり言って
 俺達全然悪くないよな」

「あわわわわ、
 話し合おう!!話し合おうじゃないか~!!」

このままじゃいかん、と
へび呼ロイドは財布を取り出し、
交渉も辞さない構えだ。

「ふ、もう遅い!!」

再び小高い岩に飛び乗り
ポースを決める三つ目の小僧ことアリー。

「それに
 お主達は拙者の敵だからな!!」

「……ええ?」
「意味がわからん」

ふふふ、と
小僧はポーズをとって
呪文を唱え始める。

魔法まで使えるとはなんとハイスペック。

「あ~、もしもし、拙者拙者(呪文)」

「「「………」」」

「ちょっと、株で失敗しちゃってさ~(呪文)」

「「「………」」」

「会社の金に手を出しちゃって、
 訴訟もやむを得ないって事になってるんだけど
 すぐに返せば許してくれるって(呪文)」

「「「………」」」

「今すぐ現金を
 あ、送っちゃダメだよ。
 ほらいま銀行とか厳しいじゃん(呪文)」

「「「………」」」

これは、オレオレ詐欺とサッカーのテーマソング(凄く昔の)を
かけているのだろうか。

んん?
とマツバは首をひねる。
小僧を中心に光が集まっている。

「……召還魔法?」

さらに小僧はポースを決める。

「ちょっと、こっちまで
 出て来てくれない。(呪文)
 ―――――いでよ、ギャーズンドコズンドコ!!!」

えぇええええええ。

こんな、道ばたで
ラスボス登場!!!???


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