うちのような寒い地域に住んでいると、蕾がふっくらするだけでも、ほうとため息つく。
この枝は、夏場に私が草刈り畑仕事を頼まれているおばあさんから昨年の12月にもらった。
おばあさんは何十年も花を八百屋さんや小さいスーパーに卸す仕事をしていて
80過ぎた今でも現役。
木花にはとてもくわしい。
「山茱萸 (さんしゅゆ)は何度か楽しめるで」と言って枝をくれた。
それから比較的暖かい台所の窓辺に置いておいて、蕾がふくらむのを毎日じーっと見つめて
待っていた。
2ヶ月たった節分のころ。まだまだその兆しが見られず、
「もしかしたら枯れているのかな」と思いもしたけれど
水を替えながら、その日がくるのを待つ。
2月末頃、ん?少し太ってきた?
と思ったら、眠りの森の姫のように、ゆっくりとその芽をひらきはじめた。
冬が長い地域のひとは、雪降る野山を見ながら、
家の中でこんな生花を楽しんでいたのかな。
おばあさんの「何度か楽しめる」といったその言葉がよくわかりました。
以前島根県から植生にくわしい方がうちに泊まりにこられたのですが
うちの周りを歩いてみて、かなりの違いがあるということでした。
同じ県内でも違いがあるくらいですもんね。
日本は南北に長いし水が豊富だから、こうした違いが顕著なのかしら。
挿木、私は挿木はいつも失敗してしまうのです。
上手に根っこを出させる人は本当に尊敬します。
でも挿木の季節ですね。やってみようかな。
私は長年宮崎県のひえつき節の歌いだしの部分に出てくる
のはこの山茱萸だと思っていましたが、現地出身の方に
ある時お聞きしたら、山椒が訛っているのだとか。現地では山茱萸は見ないとおっしゃっていたので、思い込みが
違っていたのでちょっと肩透かしです。でもこの木に
趣があるのは確か。秋にも意外にもつやつやした実をならせておっしゃる通り年に何度も楽しめます。こんな立派な
枝があるなら、ぜひ挿し木して見てください。