「〇〇くんは、去年定期考査ではクラス内順位は、何番くらいだった。
「大体5~7です。
彼は今回の考査、10番だった。ちょっとへこんでいた。
「センセ。
「なんだい。
「今年のF組って、去年のF組より、断然勉強できる人が多くないですか。
「??? 何でそう思うの。
「だって、A君、Bさん、Cさんなんて、元DEF組のそれぞれ一番じゃないですか...
「そんなことないよ...(そこまでよくない)
「センセ、去年のF組成績が悪くて、先生が大変だったから、今年は頭のいい人を集めたって噂です。
「そんなことはないよ。
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誤解されると嫌なのでしっかり書くけれど、〇〇くんが考えているようなことは全くない。そもそも、成績いいものを集めてクラス編成をすることなんてできない。クラス編成は芸術選択、体育の授業編成、選択科目の都合等々を勘案して行われる。通信簿の成績のいい生徒だけを40人集めてクラスを作ることは無理なのだ。逆にどんなに全クラスの成績の均衡を図ろうにも、これもできないのだ。それに大変そうだからといっても、何か特別なことをすることはないのだ。実際去年のF組は、成績最下位クラスだった。だからといって、成績のいい生徒を集めて担任をやらせてあげようと思ってもらえるほど、僕のキャリアは短くはない。
定期考査の点数や、学年内での順位、クラスごとの成績の平均値なんて、勉強(授業・家庭学習)以外の要素でどうにでも変わる。HRの雰囲気、挨拶・出欠状況、課外活動(運動部・文化部所属の生徒数)、委員会で役員をしている生徒の存在の有無、行事の時の勢いで左右される。テスト勉強に向かう雰囲気で、個人もクラスも、成績(考査の得点や順位)なんてかなり変化する。そもそも同じ入試を通り抜けてきたのだから、良くも悪くも基礎学力はあまり大差ないのだ。放置しておいても勉強ができると言えるほどの”成績のいい”生徒が集まっている数少ない学校を除いて、大体どこの学校でも勉強に向かう雰囲気をクラス、学年、学校全体作ろうと、気を配っているのだ。まあ、その雰囲気を旨く作れるのがベテランなのだとかっこいいことを言う人もいるが、その人は間違えている。何をやってもダメな時はダメ、またその逆もしかりである。
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〇〇くんは小学校の先生になりたいそうだ。この辺のことがわかると、仕事への興味もより湧くのだろう。三者面談が終わったら、二者面談(雑談)の時間を設けようかな。