浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

アルフレッド・コルトーのベートーヴェン ライブ盤

2007年11月27日 | 洋琴弾き
【前回までのあらすじ】
出張で神戸に戻った僕は、久々に実家で寛いだ。テレビを見てゐると英語の達者な日本猿が出てゐて、長い間米國で過ごすと猿でも英語が喋れるやうになるものだと嫁さんが感心してゐるが、よく見るとそこにはブッシュ大統領が映ってゐたのだった。

さて、神戸のCD屋で入手したコルトーのベートーヴェンもいよいよ終楽章だ。この第3楽章は少々厄介だ。といふのは、冒頭の洋琴独奏部分などは、今までに聴いたことのないアーティキュレーションで、さすがにコルトーの音楽性に感激させられる。しかし、ほどなく現れる右手の跳躍では原曲が分からなくなるやうなミスタッチの連続。続いて左手のミスタッチも華々しく登場して、左右のバランスを保つ。

それにしても、コルトーのミスタッチは独特で、他の洋琴家では考えにくいやうな場所で、有り得ないやうな間違え方をする。しかも、そういった場所ではコルトー自身が興奮してゐる様子も窺え、低音部が大暴れをしたり、アクセントを強調したりと複合技で攻めてくる場合が多い。

尋常な演奏ではないが、コルトーのベートーヴェンに対するアプローチ自体は素晴らしいものだと感じた。高い音楽性の噴出をこのライブ盤からも感じ取ることができて十分に満足し、神戸に足を伸ばした価値があった。

盤は、仏蘭西Thara TAH610。


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