浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ヴィクトル・デ・サバータ サンフランシスコ響とのリハーサル

2006年10月22日 | 指揮者
ヴィクトル・デ・サバータとサンフランシスコ響とのリハーサル風景が手元にある。曲はブラームスの交響曲第3番の終楽章とR.シュトラウスの「死と変容」である。ブラームスの方はレコヲドに収められた8分間で一度も止まることなく、さまざまな問題は解決されないまま練習が進められていく。

ブラームスの交響曲は重厚さよりも旋律を浮き立たせる伊太利亜風のやり方できびきびと音楽が進められていく。しかし、テンポが安定するまではアンサンブルが乱れ、弦楽と木管とが微妙にずれてしまう。それも1回ではない。トスカニーニなら指揮棒をへし折っているところだ。それを何事もなかったやうに進めていくあたりはおおらかな性格かおおまかな性格のどちらかである。つまり細かいことは気にしないのか、細かいことに気づかないかのどちらかである。まあ、いずれにしても結果は同じことである。

「死と変容」では、中間部のワルツ風の部分を旋律を浮き立たせて演奏していて、まるで映画音楽のやうだ。こちらは3度ほど止めて、主旋律や対旋律を自ら歌って聞かせ細かな指示をしてゐる。フルトヴェングラーが旋律よりも構成やクライマックスづくりに関心をもって、テンポや強弱に指示を出すのとは明らかに異なる。

それにしても、針飛びはそのままであったり、異常なほどのスクラッチノイズがあったりと伊太利亜らしいCDである。

盤は、伊太利亜Nouva EraのCD 2319。


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