浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ミルスタイン&ドラティによるブルッフの提琴協奏曲第1番

2009年04月29日 | 提琴弾き
Z共和国では4月だといふのに蝉がやかましく鳴いてゐる。日本國とは随分と気候も違って体調管理が難しい。世間では豚インフルエンザのことで騒がしいが、そんなことはこの地では関係無いかの如くに責任者も能転気だ。久々に提琴演奏でも聴いてみたくなり、未だに聴かぬまま放置してゐたミルシティンのライブアルバムを取り出した。

1961年9月24日にORTFのコンサートに登場したミルシティンはバッハの第1番とこの曲を取り上げてゐるやうだ。指揮は、アンタール・ドラティだ。ブルッフの第1番は誰が演奏してもそこそこの感動を得ることができる名曲だと思ふが、ミルシティンはその音色がとても好きなもので、録音の良さも相まって気分よく聴き進んでゐた。ところが、ちょっとした表現のことでドラティの指揮が気にいらないところがあった。そして第3楽章では主題のアーティキュレーションもおかしい。重要な動きが装飾音のやうに繰り返し演奏されると黙っていられなくなる。

せっかく気分よくミルシティンの演奏に耳を傾けてゐたのに残念だ。このやうな経験が以前にもあったことを思ひだした。それは、ワルターの指揮によってお下品な演奏になってしまったメンデルスゾーンの協奏曲のことだ。よくよく指揮者とのめぐり合わせに縁の無い人なのかも知れない。続けて収録されてゐるバッハも冒頭からオケのアンサンブルは乱れるし、オケがうるさ過ぎる。一度けちがつくと何もかもが嫌になってしまふ。

このアルバムにはケルテスとやったブラームスや、オーマンディとのベートーヴェン、クリュイタンスとのラロがカップリングされてゐるので愉しみはまだまだ残されてゐる。今日は機嫌を損ねてしまったので、機会をあらため気分を入れ替えて聴くことにしやうと思ふ。

盤は、米國Music&Arts社により初めて発売された録音 CD1168。


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