浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

クナパーツブッシュのブラームス第4交響曲

2007年09月19日 | 指揮者
僕にとってブラームスの第4番は格別なのだが、これが実に多様な演奏解釈の存在する作品なのだ。テンポ設定からアーティキュレーションまで幅広い解釈がある中、フルトヴェングラーの解釈だけが突出してゐる(と僕は思い込んでゐる)。そのやうな訳だから、クナパーツブッシュのウラニア盤を入手してもすぐには聴かずに今日まで放置し、旅先でならといふことで聴いてゐる。

この演奏は、以前にキングレコヲドから発売されてゐたものと同じだと思ふが、クレディットによれば、1953年5月、ケルンでのWDR響との演奏となってゐる。大概の演奏は、第1楽章のテンポ運びで聴くことを放棄するのだが、このレコヲドは持ちこたえた(と言ふか、コーダ以外はなかなか良い)。解釈の差の大きな第4楽章も滑り出しは良かったが、やはり心配したとおり、Piu Allegroのところから減速してしまった。こういふ解釈は好きではないのだ。スケールを大きく聴かせるつもりだらうが、むしろ失速による不完全燃焼の方が問題だ。どうして楽譜の指示から作者の意図を読み取らないのだらう。

小さな部分での引っ掛かりはあったものの、クナパーツブッシュの演奏も重厚でなかなか素晴らしい。フルトヴェングラーさえ知らないでいれば、この演奏で十分に満足できたことだらう。改めてフルトヴェングラーといふ希代の天才の存在に不思議さすら感じる。

盤は、伊太利亜UraniaのCD URN22.238。


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