浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ミルスタインによるゴールドマルクの提琴協奏曲

2010年08月26日 | 提琴弾き
マーラーが亡くなる半年前に紐育フィルハーモニーとの演奏会で取り上げたゴールドマルクの提琴協奏曲をミルスタインの提琴で聴いてゐる。浪漫的な名旋律に酔いしれることができる。

隠れた名曲であることは疑いの余地がない。ミルスタイン自身も晩年にも維納芸術週間で取り上げており、其のときの演奏をラヂヲで聴かれた御仁も多いことと思ふ。ゴールドマルクはブラームスよりも年上の維納の作家でシベリウスの師でもあるが、長生きしたため、浪漫派から次の世代へと音楽界が激流に揉まれてゆくのを見ながらこの世を去っていった。彼の作風は浪漫派其のものであり、近代の作家といふイメージは此の曲からは聴き取れない。

維納の伝統や街の雰囲気を知る人なら此の曲を聴いてノスタルジィに浸ることができるのだらう。羨ましいことだ!田舎の生活に飽いてきた僕は、此のやうな甘いかほりのする音楽を聴くと、たまらなくなってフラフラと旅立ちたくなる。

ミルスタインの提琴は淑やかで正確な言葉遣いで伝えてくれる。伴奏は、英國のモーツァルト演奏の第一人者であったハリー・ブレッヒ指揮するフィルハーモニア管絃團である。

盤は、TestamentによるリマスタリングCD SBT1047。


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