浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ミュンシュのモーツァルト35番「ハフナー」

2008年12月17日 | 指揮者
ミュンシュのモーツァルトはあまり正規のレコヲドには残されてゐなかったと思ふ。以前に第40番の快速演奏をご紹介したことがあったが、あれも名演だった。今朝は、巨大なヒンデンブルグ号が裏山に墜落してきて大火災の中逃げ惑うといふ悪夢に魘されてのお目覚めだ(一体自分は何時の時代の人間なのだ!)。気分転換にモーツァルトを聴こうと思った。

ミュンシュは、やはりこの交響曲でも第1楽章から快速で飛ばしてゐる。短調の部分で見せるちょっとした表情やテンポの変化は流石だ。第2楽章ではこのオーケストラの木管奏者の腕前の素晴らしさを垣間見ることができる。ヤンキーの國にもこんなに品の良い人たちが居たのだ。

第4楽章の転調部分で畳み掛けるやうな表現やティンパニーの強打でメリハリを付けるなど、モーツァルトの優しい音楽の中にも緊張感が漂う。トスカニーニばりのスピード感で全曲を17分で演奏してゐるが、決して冷たくは感じないし、荒っぽさも無い。ボストン響の弦楽セクションのアンサンブルの良さと管楽器の音量を殺したミュンシュの指示(があったと思ふ)によって、とても聴き心地の良い音楽に仕上がってゐる。

演奏は1958年10月10日にボストンで行われたもので、当然実況録音である。恐らく当日のプログラムの前半に演奏されたものだと思ふ。演奏日から50年と2ヶ月が経ってゐるのに加えて、この盤は海賊盤CD-Rなので著作権の問題はないと思ふ。いずれ暇ができたなら皆さんに聴いてもらえるやうなホームページを作ってみたいものだ。

盤は、亜米利加"0-0-0"Classicsのシャルル・ミュンシュ・エディション第1巻。


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