浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

スタニスラフ・シュピナルスキによるショパンのワルツ作品42

2008年12月18日 | 洋琴弾き
学生時代、友人たちと当時でも既に忘れ去られた洋琴弾きの名演奏を開拓しては、新たな発見に沸きかえった日々を懐かしく思い出す。Diw ClassicsのCDを聴いてゐてシュピナルスキといふ懐かしい名前を見つけた。

シュピナルスキの演奏が3つ収められたCDである。曲は有名なマズルカの作品33-4、ミハウォフスキーが遊んだことで知られる「子犬のワルツ」と憂鬱な嬰ハ短調の作品64-2、計3曲である。

マズルカの少々歪んだリズムは大変心地よく、これぞ本物のマズルカと主張してゐるやうに感ずる。子犬のワルツはジュラブレフやミハウォフスキの演奏を知ってしまった僕たちにはパハマンのおしゃべり付きの録音ですらオーソドックスな演奏に聴こえるわけだから、当然、シュピナルスキーは「普通の演奏」に感ずる。しかし、嬰ハ短調のワルツは反復後にマルカート気味に速度を上げるといふ変わった表現方法をとってゐるが、メロディの歌わせ方は僕の好みの「ため」があり聴き手をぐっとひきつける波蘭の匂いがある。

しかし、シュピナルスキの印象として最も強烈に残ってゐるのは、やはり作品42の豪快なワルツだ。この完全に忘れ去られた洋琴弾きの名を未だに覚えてゐるのはこの演奏と出逢った為である。残念なことに、この演奏はCD化されてゐないやうなので、多くの方々にお伝えする方法は今のところ無い。近いうちにホームページの中にダウンロード可能なArchivを作ることが夢だ。

盤は、私家版CD-R 765-0029PF。


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