浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

クナパーツブッシュのヘンデル さすがモンスター

2008年12月15日 | 指揮者
今までにさまざまな表現を聴いてきた音楽通でも、このヘンデルの第1楽章を聴いたらたちまち普通の状態ではいられなくなる。ときには、眩暈がして会議中に居眠りをするツチヤ氏病が悪化したり、急に腹の調子が悪くなって新鮮な刺身と霜降りの牛肉しか食べられなくなったりするなどの症状が出ることがある。

クナパーツブッシュが極端に遅いテンポを設定するのには何か理由があるのではないか。友人Yは証拠の写真を指してクナパーツブッシュの巨体こそが原因だと語ってゐた。巨体ゆえに動きが鈍いといふのだ。しかもその手は子どもの頭をひねりつぶさんとするかのやうなポーズで表情もフランケンシュタインに似て恐ろしい。

今日は早朝より出張に出かけ、今は帰りの列車の中だ。モバイルパソコンを使って、いつものやうに仕事のまとめをしてゐる振りをしながら音楽を聴いてゐる。聴きながら、今日の不愉快な出来事を思ひ返しムカムカしてきた。

出張先の会合では、戦略のシミュレーションを行ってゐて、事例をもとにスタッフが参加者に発表させてゐた。阿呆の類が陥りがちな間違いを発表してゐたが、主催者側は誰もそれを修正することもなく、僕がそのことをこっそりと指摘してやったにもかかわらず何の対策も打たなかった。間違った考えが浸透していくその着火点を見てしまった感がある。これではいくら僕が頑張って各地へ出向いてお話をしても無駄になってしまふ。無能な輩に事例研究やシミュレーション研修などをやらせてたまるものか。全く呆れてしまふ。しかし、クナパーツブッシュを聴けば、そんなちっぽけなことはどうでもよくなるから愉快だ。それくらい此の世とかけ離れた世界観の演奏だ。

盤は、Music&ArtsによるリマスタリングCD CD-897。


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