浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

サモンズ&マードックによるシューベルトのソナチネ

2008年10月09日 | 提琴弾き
憂いのある音色が印象的な英國紳士サモンズは、独学の大提琴家だ。自宅に残ってゐたSPアルバムにはシューベルトが作ったソナチネが収められてゐた。

このSP盤は久しぶり(僕の「久しぶり」は平均して31年と2ヶ月16日である)に聴くが、第1楽章は本当にシューベルトらしい雰囲気で音楽が展開されていく。

サモンズの角の取れた音色を楽しんでゐる。休日の朝にぴったりだ。

SP盤を一面一面ターンテーブルを止めて入れ直す作業は、音楽をより良く愉しむ為に必要な準備運動なのだ。その間の空白をうまく繋いで処理する音楽的能力は、実は賢い人間の脳にのみ可能なのである。現代のCD時代に生まれたオランウータンには、ちょっと真似のできないことだと思ふ。

伴奏は当時、伴奏者として数々の名手とレコヲドを残してゐたウィリアム・マードックである。結構上手な伴奏で安心して聴くことができる。

此の地にも既に500日以上滞在したことになる。僕は妥協して、あたかも仕事仲間に恵まれたやうな顔をして毎日を過ごしてゐるが、基本的に本当のプロとしての仕事を理解するだけの素地が無いやうに思えてきて、最近では哀れみすら感じてゐる。本当に素晴らしい仲間や仕事内容を知らない人たちには、残念ながら伝えられないものがあることを僕はやうやく理解した。今年採用された同僚は精神を煩い今月は未だ1日しか出勤できてゐない。本当に腹を割って話をしてみやうかと思ふ同僚は全員、県外人か外國人といふお粗末な世界である。

今宵は焼酎「月の中」をしこたま飲んでゐて、酔狂をお許し願いたい。

盤は、ColumbiaのSP盤 J 475~7。


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