浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

ステンハンメルの交響曲第1番

2009年04月15日 | 忘れられた作品作曲家
平和で温暖な土地で会話の通じない人々に愛想笑いで誤魔化す毎日が続く。あまりに生活スタイルが違い過ぎて物を言ふのも辛いくらいだが、言葉が分からす本当に物が言へないので都合が良い。こんな中、ステンハンメルの交響曲といふ聴きなれない作品を聴いてみやうと思った。

今は現地時間で深夜の2時過ぎだ。深夜に聴くに相応しい音楽だと勝手に決め込んで耳を傾けてゐる。独逸音楽とも国民楽派ともとれるこの作品は、ワーグナーのトリスタンやマイスタージンガーに似たパッセージがあるかと思へば、第2楽章ではブルックナーの第7交響曲の第2楽章そっくりの部分があったりして、後期浪漫派の色調でお国の民謡を歌い上げたやうな作品に仕上がってゐる。

CDを聴いてゐると咳払いのやうな会場ノイズが混入してゐるので調べてみるとライブ録音だった。ライブ録音が出回るほど有名な作品なのかと目を疑ったが、どうやらこの録音が世界初録音なのだそうだ。どうりで今まで知らなかったはずだ。

しかし、この作品はメンスラ・ゾイリーを通過できただけあってなかなかの名作だと思ふ。音楽手法だけでなく、構成やメロディの美しさなど魅力に満ちてゐる。なによりも難解な部分が一つも見当たらないところが良い。こんなに平易な語り口の音楽が、どうして忘れ去られたのだらうか、僕には分からない。独逸後期浪漫派の管絃樂作品を好まれる方にはきっと受け入れられるに違ひない。

ステンハンメルは瑞典の作家・洋琴家で、シベリウスとも親交があった。このCDはニーメ・ヤルヴィ指揮エーテボリ交響樂團による演奏である。

盤は、西独逸BISによるデジタル録音 BIS-CD-219。


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