浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

イダ・ヘンデルの十八番 エネスコ作曲提琴奏鳴曲第3番ライブ

2009年11月01日 | 提琴弾き
ルーマニアのバルトークと言われてはゐなかったエネスコ、彼の 提琴奏鳴曲第3番は、ソナタの名はあるが主題が提示されて展開部を持つ古典的なソナタではない。エネスコの作品を聴くといつも暗い気分になる。今日は非創造的な仕事で半日が潰れて気分が滅入ってしまったので、この作品を聴いてさらにどっぷりとその気分に浸ってゐるのだ。

イダ・ヘンデルはこの作品を得意にしてゐるのだそうだが、此の難解なソナタを聴いて「ブラヴォー」と声を上げてゐる聴衆が居たのでたまげた。僕など、アンコールで演奏されたウェーバーを聴いてほっとしてゐるといふのに、このソナタの演奏を聴いて感動できる人がゐるといふのだから癪に障る。残念ながら僕の頭脳ではこの作品の第1楽章の良さなどは、最低でもあと13回聴かねば分からない。

この曲には「イ短調」と表記があるのでてっきり調性音楽だと期待してゐたが何処に調があるのか最後まで見つからず終いだった。ルーマニアの民謡の特徴をもとに作られたらしいがいかにもルーマニアらしい暗さが全体を支配してゐる。どうしてルーマニアの名が付くと暗い印象がつきまとうのか、不思議だ。旋法によるものだらうか。亜細亜のスパイスを感じるところも多々あって、西洋音楽として聴かなければそれなりに面白い印象を持つことができるのかも知れない。

今度聴くときには、亜細亜の呪術の本を片手に、シルクロードの絵などを飾って、蝋燭の灯りでっゆっくりと深く愉しんでみようか。

盤は、加奈陀DoremiによるCD DHR7756。


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