浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

24歳のバックハウスによるショパン・リスト・ラフマニノフ

2009年11月20日 | 洋琴弾き
バックハウスのショパンを初めて聴いたのは確か秘曲洞によるSP復刻LPだったやうに記憶してゐる。そのとき、バックハウス=ベートーヴェン弾きといふものが商業ベースで作られた虚像だと直感したのを覚えてゐる。今日は、久々に1908年にG&Tに録音したショパンやリスト、ラフマニノフなどを聴いてゐる。

20世紀初頭はリストやショパンの演奏を聴いて知ってゐる人たちが現存してゐた時代である。リストの弟子たちが活躍しており浪漫的な陶酔型の演奏が流行ってゐた頃だが、24歳のバックハウスの演奏からは19世紀の香りは全く感じない。それともう一つ、録音技術の進歩によるものだらうが、当時の他の録音がポコポコと玩具の洋琴に聴こえる中、バックハウスの音には重量感がある点だ。

バックハウスと云へばベートーヴェンやブラームスをイメージする人は50年前の一面しかご存じない。100年前のバックハウスは、テクニックに物を言わせて豪快に弾き捲くるタイプだったやうである。

盤は、英國Appian P&R社によるSP復刻CD APR5534。


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