浪漫亭随想録「SPレコードの60年」

主に20世紀前半に活躍した演奏家の名演等を掘り起こし、現代に伝える

クライスラー フェイバリッツ・ショート・ピース

2007年06月02日 | 提琴弾き
クライスラーがフランツ・ルップと組んで残した小品集を素晴らしい復刻で愉しんでゐる。この復刻CDとの出会ひは衝撃的だった。震災でSPやLPの殆どを失ったショックで呆然となってゐた僕に、新たな視点を示してくれたCDだった。

それまではデジタルの媒体には全く興味関心を示さず、CDプレイヤーはあったもののCDのコレクションはサティーの連弾作品集が1枚だけだった。

そのやうな折、米國在住の叔母に円高を利用してCDを注文し、神戸に送ってもらった。当時のレートは1ドルが79円だった。一度に数百枚ずつ購入したが、その中にこのCDが含まれてゐたのだった。ちょうどビダルフが創業を始め、SP復刻新時代が到来してゐた時期と偶然に重なったやうで、CDに無関心だった僕は、幸運なことにワード・マーストン氏による最高の復刻に出会えたのである。現代の録音と比べ、より自然な状態で録音できるSPといふ恐るべき技術に驚きを隠せなかった。

ショパンのマズルカや自作の「愛の夢」などの名演を、心ゆくまで聴き返したものだ。世話になった人たちに、このCDを随分とプレゼントした記憶がある。当時はいくらでも入手できたこのCDも今では廃盤で店頭には置いてゐない。マニア垂涎のCD盤となってしまった。

盤は、英國BiddulphによるSP復刻CD LAB040。


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