京都府八幡市の女子中学生が、米の味や田んぼの質を鑑定する「米・食味鑑定士」「水田環境鑑定士」の資格を取得した。史上最年少の2資格取得という。こだわりの稲作を続ける父を手伝い、日本の稲作文化の発展を願って「地域の農家とお客さんを橋渡しできたら」と意気込む。
同志社中1年の辻うさぎさん(13)。小学生のとき、能や狂言など伝統芸能の分野で活躍する同級生に触発され、「日本の文化の中心である稲作を家で受け継ぎ、広めていくことも大事」と思い、父の典彦さん(48)に受験を申し出た。
難解な専門用語や漢字を勉強し、小学5年だった昨年3月に「米・食味鑑定士」の試験に挑み、筆記と米を食べ比べる実技の計110点満点中100点で合格した。同鑑定士は「お米ソムリエ」とも呼ばれ、消費者の好みに合った米を提供できる。「これまではおいしいだけで良かったけど、味の深みなどを考えるようになって楽しい」と笑顔を見せる。
さらに今年6月、田んぼの虫や魚、鳥を調べて水質を鑑定し、環境を格付けする「水田環境鑑定士」の資格も取った。先に両資格を取った典彦さんは「稲作文化を守りたい自分の思いが少しでも伝わっていたらうれしい」と喜ぶ。
米・食味鑑定士協会(大阪市)によると、米・食味鑑定士は約1500人、水田環境鑑定士は約350人いるが、多くが農協や行政、農業関連業者の成人という。同協会の鈴木秀之会長(70)は「同世代に農業を守る大切さを伝えてほしい」とうさぎさんに期待、11月の国際大会「米・食味分析鑑定コンクール」の審査員登用も検討している。
うさぎさんは夏休み中も農作業を手伝い、自由研究は父の田んぼへのこだわりをテーマにした。米への愛情は親譲りだ。
【 2018年08月31日 18時59分 】