たぬきニュース  国際情勢と世界の歴史

海外のメディアから得た情報を書こうと思います。

クロアチアからシリアへの武器輸送は終わっていない

2018-01-20 01:07:30 | シリア内戦

2012年11月から2013年2月の間に、75の民間輸送機がクロアチアのザグレブ空港から離陸した。武器や弾薬の一部3000トンがトルコとヨルダンを経由してシリアの反政府勢力へ送られた。

大量の武器がシリアへ送られた事実が明らかにになり、改めてシリア内戦が外国の代理戦争であることを印象づけられた。

クロアチアからシリアへの武器輸送はこれで終わったのではなく、その後むしろ増加した。その後の輸送量の多さに比較すると、2012年11月ー2013年2月の武器輸送はわずかなもであった。特に2016年の増加は著しい。

OCCRP(組織犯罪と腐敗報告プロジェクト)がクロアチアの武器輸出を、グラフを用いて解説しており、一目でその実態がわかる。このグラフはサウジアラビアによる反対派への支援の急増を物語っている。

 

====《クロアチアの武器がシリア内戦を激化》====                       -Croatian Arms Sales to Saudi Arabia Fuel Syrian War

                by Lawrence Marzouk, Ivan Angelovski and Jelena Svircic

 <https://www.occrp.org/en/makingakilling/croatia-sells-record-number-of-arms-to-saudi-arabia-in-2016/                      

                                      OCCRP     2017 年2月21日

 2016年クロアチアは前代未聞の量の中古の武器をサウジアラビアに売却した。これらの武器がシリアに流れるのは歴然としており、多数の証拠がある。これはEUの法律と国際法に違反している。

3016年4月自由シリア軍に所属するヌール・ディン・ゼンキ(Nour al-Din al-Zenki Movement)がクロアチア製の多連装ロケットRAK-12 を使用している動画がある。YouTube

 

サウジ軍は中東で最良の、最も高価な武器をすでに保有しているにもかかわらず、2016年新たに8170万ドルの中古の武器を購入した。それらは、ロケット砲、迫撃砲、手りゅう弾発射機、弾薬などである。

サウジのクロアチアからの武器購入は4年前から続いているが、2016年に急増した。8170万ドルという額は2016年の9月までのものであり、年の終わりには、これまでの4年間の合計金額を超え、その2倍になりそうだ。

クロアチアの軍事評論家Igor Tabakによれば、クロアチアは現在武器を生産しておらず、サウジに売却しているのは中古品であり、旧ユーゴや東欧諸国で生産されたものである。

クロアチアの不要な在庫品を売却して利益を得ていること、それがシリアで使われていることを、クロアチア政府は頑固に否定しているが、クロアチア国防相の文書を見れば、明らかだ。

2012年以来クロアチアの武器売却が急増していることを、組織犯罪と腐敗報告プロジェクト( Organization Crime and Corruption Reporting Project )が明らかにした。2012年はシリア内戦が始まった年である。

2012年と2013年の2年間に、クロアチア国防省はそれ以前の10年間に等しい量の武器を売却した。2011年クロアチアは18,000 トンの武器を保有していたが、その後の2年間で その4分の1以上(5,000トン)を売却した。

我々はクロアチア国防省に売却先を質問したが、返事はなかった。2015年と2016年の売却についても、説明がなかった。

クロアチア国防省の文書はネットに公開されている。

2012 Report by the Croatian Ministry of Defense

2013 Report by the Croatian Ministry of Defense

2014 Report by the Croatian Ministry of Defense

2012 Report by the Croatian Ministry of Defense

2013 Report by the Croatian Ministry of Defense

2014 Report by the Croatian Ministry of Defense

 

上の写真は「シャムの剣」というグループが投稿したビデオの場面である。日付は2016年5月18日。これはクロアチア製のロケット RAK-12 である。下の写真はクロアチア兵士であるが、同一のロケットを持っている。

              【武器売却は国家機密】

クロアチアは2012年の冬シリアの反乱軍に最初に武器を供与した国の一つである。これはCIAの作戦であり、サウジアラビアが資金を出し、ヨルダンを経由してシリアに持ち込まれた。の調査によってわかった。

これについてニューヨーク・タイムズなどにより、多くの報道がなされた結果、恐れをなしたクロアチア政府は売却武器が最終的に誰の手に渡ったかという情報を公式記録からすぐに抹消した。

国連の貿易統計によれば、2012年と2013年の2年間に、クロアチアは3600万ドルの武器をヨルダンに売却した。クロアチアの役割が世界的なニュースになると、ヨルダンに代わりサウジアラビアが武器購入を引き受け、2014年以後1億2400万ドルの武器をクロアチアから購入した。

2012年以前クロアチアのヨルダンとサウジアラビアへの武器輸出額は数十万ドルに過ぎなかった。2015年以後クロアチアからサウジへの武器輸出枠は3億200万ドルだった。

 

 

       

写真の男が手にしているのはクロアチア製の手りゅう弾発射機

RBG-6である。彼はコーカサスを拠点にしているイスラム主義グループImarat Kavkazのメンバーである。

手りゅう弾発射機RBG-6と多連装ロケットRAK-12 はシリアで大量に出回っている。これらはユーゴ解体後の1990年代クロアチアで生産されたものである。

===================(OCCRP終了)

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ファルーク旅団(ホムス) | トップ | ファルーク旅団(ホムス)② »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

シリア内戦」カテゴリの最新記事