たぬきニュース  国際情勢と世界の歴史

海外のメディアから得た情報を書こうと思います。

6巻16ー18章

2024-06-30 18:34:35 | 世界史

【16章】
独裁官が言った。「無駄な言いのがれをやめよ。確かな証拠を出せ。それができないなら、虚偽の理由で元老院に罪を着せたことを認めよ。元老たちが盗みをしたと君が言いふらしたために、人々は彼らを憎むようになった。最も権威ある人々の名誉を失わせるのは重罪である」。
マンリウスは罪を認めなかった。「敵の質問に答える必要はない」。
独裁官はマンリウスを投獄せよと命令した。警吏が彼を逮捕すると、彼は叫んだ。「カピトルの丘に住む最高神ユピテル、女王神ユノーとミネルバ、あなた方を防衛する兵士が敵によって迫害されるのを許すのですか。ガリア人をあなた方の神殿から追い出した私の右手が縛られ、拘束されてもよいのですか」。
マンリウスが辱められるのを見るのを耐えられる者はいなかった。しかし国民は国家の最高権威に従わねばならず、越えてはならない一線を守る必要があり、護民官と平民は独裁官に怒りの視線を向けることはなく、抗議の声を発することはなかった。マンリウスが獄につながれると、多くの人が喪に服し、髪を切らなかったとつたえられている。獄の入り口の前に、群集が集まった。彼らは落胆し、悲しんでいた。
独裁官はヴォルスキ戦の勝利を祝ったが、彼の評判はかえって悪くなった。独裁官は戦場で敵に勝利したのでなく市民に勝利したのだ、と人々は不平を口にした。彼らは皮肉を言った。「勝利を祝う暴君の凱旋行進には足りないものがあった。独裁官の戦車の前を歩く捕虜たちの中に、マンリウスの姿がなかった」。
急速に反乱の機運が高まった。元老院が率先して混乱を抑えようとした。平民をなだめるために、元老院はサトゥリクムに200人の植民者を送ると決定した。
  (日本訳注:サトゥリクムはローマの南東60km、ポンプティン地方の北西端の町。サトゥリクムはラテン人のアルバ王国によって建設されたが、紀元前488年ヴォルスキに征服された。紀元前386年ローマはサトゥリクムを奪取した。前386年はこの章=16章の前年)。
植民者は2、5ユゲラ(1ユゲラは約四分の1ヘクタール)の土地を受けとることができた。しかしこれは少数の限られた市民への恩恵であり、受け取れる土地も狭かった。そしてマンリウススを裏切ることを促す賄賂だった。元老院の計画は裏目に出て、人々の怒りに油をそいだ。マンリウスの支持者たちは薄汚れた衣服を着て、険しい表情になり、彼らの意図が明らかになった。独裁官が戦争に勝利し辞任し、恐ろしい存在が消えると、人々の精神は自由になり、言いたい放題になった。
【17章】
人々は自分たちの代弁者をけしかけ、断崖の先端まで行くが、危険を前にして代弁者を見捨てる。たとえば Sp・カッシウスは、平民に土地を与えようとした。また Sp・マエリウスは自分のお金で市民を飢餓から救った。しかし二人とも破滅した。同じように、M・マンリウスも高利貸しに責めたてられ苦しんでいる市民を救い、自由な明るい生活を取り戻してやったが、自分は敵の手に渡されてしまった。平民は自分たちの保護者を見殺しにするのである。家畜を肥やしたあとで、と殺するのと同じである。執政官階級の貴族は独裁官の命令や呼び出しを拒否できないのだろうか。マンリウスは嘘を言ったとしても、また突然質問されて返事に窮したとしても、彼を投獄するのはやりすぎである。奴隷が嘘をついたからといって、投獄されることはない。独裁官と元老院はローマの最悪の日を忘れたのだろうか。ガリア兵がタルペイアの崖を登った夜はローマにとって最後の夜となったかもしれない。もし一人のローマ兵が物音に気づかなければ。見張りが眠ってしまった時、マンリウスが敵の接近に気づき、カピトルの丘は守られた。マンリウスは最初一人で戦い、負傷したが戦い続けた。カピトルの丘は最高神ユピテルの居所であり、マンリウスはユピテルを蛮人から守ったと言える。市民はマンリウスに精一杯のお礼として、半ポンド(1ポンド=454グラム)のトウモロコシを差し出した。それにより、元老院は救世主への感謝は果たされたと考えた。元老院はマンリウスを神のような人物、ユピテルに匹敵する人物と称賛し、人々は彼をカピトリヌスと呼んだ。元老院と市民から尊敬されたマンリウスが警吏に引き立てられ暗い獄につながれてよいのだろうか。すべての市民を助けた人間を助けようとする市民はいないのだろうか。
牢獄の前に集まった群集は夜になっても去ろうとせず、「マンリウスが釈放されなければ、牢獄の壁を打ち破る」と大声で言った。群集が実力行使をする前に、元老院はマンリウスの釈放を決定した。これで反乱は終らず、指導者を奪い返した群集は反乱を開始した。このような時、ラテン人とヘルニキ族使節がローマにやって来た。キルケイとヴェリトラエの植民者の使節も一緒に来た。彼らは弁明した。「我々はヴォルスキと同盟していない。われわれの仲間を釈放してほしい。我々の法律で彼らを裁きたい」。
ローマはラテン人とヘルニキ族の要求を拒否し、キルケイとヴェリトラエの植民者の使節に対してはさらに厳しい措置が取られた。彼らは母国を攻撃するという不敬な企てをしたからである。元老院は捕虜の釈放を断っただけでなく、直ちにローマを立ち去れと命令した。「さもなければ大使としての権利を認めない」。
大使は一般の外国人と異なり、安全を保障されているが、元老院は大使の地位を認めないと脅したのである。

【18章】
この年の末、マンリウスが指導する反乱の最中に、最高官の選挙がおこなわれた。新しい執政副司令官は Ser・コルネリウス・マルギネンシス(2回目の就任)、P・ヴァレリウス・ポティトゥス(2回目の就任)、M・フリウス・カミルス(5回目の就任)、 Ser・スルピキウス・ルフス(2回目の就任)、C・パピリウス・クラッスス、T・クインクティウス・キンキナトゥス(2回目の就任)だった。
年初は戦争がなかったので、貴族も平民も喜んだ。平民は従軍せずに済み、借金の重荷から解放されることを願った。現在強力な指導者がいるので、彼らは期待していた。貴族は戦争に注意を奪われずに国内問題に専念できた。貴族と平民は互いに戦う準備ができていたので、闘争は間もなく始まった。マンリウスは自分の家に平民を集め、昼も夜も指導者格の平民たちと革命の計画について話し合った。マンリウスはこれまで以上に激しい口調で憎しみをこめながら話した。名誉を重んじるマンリウスは生まれて始めて屈辱的な扱いを経験し、彼の怒りは尋常ではかった。クインクティウス・キンキナトゥスが独裁官だった時、Sp・マエリウスを投獄しなかった。しかし昨年の独裁官コルネリウス・コッススはキンキナトゥスを手本としなかった。コルネリウス・コッススはマンリウスを投獄すると、平民の憎しみをかわすかのように辞任した。元老院も知らんふりをしていた。このように考えて、マンリウスはくやしさを募らせ、ますます大胆になった。彼は激烈な調子で演説し、平民の感情を煽った。平民も怒りに火が付ていたので、熱心に彼の話を聞いた。マンリウスは以下のように述べた。
「諸君はいつになったら自分たちの力に気づくのか。動物だって本能で多くのことを知っている。諸君は自分たちの人数と敵の人数を知っている。仮に人数が互角な場合でも、諸君のほうが自由を求めて必死に戦うだろう。連中は権力を守ろうとするだけで、受け身だ。それに加えて諸君のほうが人数で圧倒的に優勢だ。従僕として貴族に使えている市民も反乱し、貴族を敵とみなすだろう。諸君が戦いを開始するだけで、勝負は決まり、再び平和になるだろう。だから、諸君が戦う姿勢を見せるだけで、連連中はひき下がるだろう。諸君は団結して立ち上がるべきだ。さもなければ、弱い個人としてすべてを耐えるしかない。諸君はまだ迷っているのか。私は諸君の期待を裏切らない。神々が私の見方であることを、諸君は知っているはずだ。私は諸君の敵を倒す人間だ。敵はうまい具合に私を処分した。何人かの市民を破滅から救った私が投獄されるのを見て、諸君は私を助けてくれた。私の敵が私にもっとひどい仕打ちをしようとしたら、私はどうなるだろう。カッシウスやマエリウスと同じ運命になるだろう。そうなったら、私は恐怖の叫びをあげるしかない。その時神々が介入してくれるかもしれない。しかし神々自身はは地上に降りて来れない。地上で私を助けてくれるのは諸君だ。神々が諸君に勇気を与えるだろう。私が兵士として野蛮人から市民を守った時、また非情な高利貸しから諸君の仲間を守った時、神々が私を勇気づけた。偉大な国家ローマの市民の精神が小さいはずはない。貴族との戦いにおいて、諸君の護民官が提供してくれるわずかな助力に満足してはいけない。諸君は貴族の支配を制限するのに熱心だが、それ以外にも貴族と論争すべき議題があるのに、諸君は関心がない。このような態度は葉諸君の本来の本能ではない。習慣により奴隷のような精神になってしまった。たとえば、諸君は外国に対しては気概があり、ローマが他国を支配するのは当然で正しい、と諸君は考えている。彼らと戦と戦い、彼らを支配するのに慣れているからだ。ところが自由を求めて国内の敵と戦う場合には、挑戦するだけで、完全な自由をに獲得きないでいる。情けない状態に甘んじている。どれほど素晴らしい指導者を得ても、また諸君自身どれほど勇気があっても、これまで完全な自由を獲得できなかった。力を発揮できて、運がよかった時、個々の目的を達成してきたが、最大の目的を達成できていない。今こそ真に偉大な目的に挑戦すべきだ。諸君が自分の幸運を試すなら、また、実績のある私に挑戦させれば、貴族に対する支配を獲得できるだろう。これまでのように貴族に抵抗するだけでは、いつまでたっても真の目的に到達できない。独裁官と執政官になる資格を平等にしなければならない。平民も独裁官や執政官になるべきだ。そうなれば、平民も貴族のように胸を張り、誇り高い精神を持つだろう。直ちに行動を始めよう。中央広場に行って席を確保しよう。借金を払えない市民に対する判決を阻止するのだ。私は『市民の保護者』になるつもりだ。私は市民に忠実であり、保護した経験もあるので、資格があるだろう。もし諸君の指導者に別の称号を望むなら、それにすればよい。諸君の目的の実現に向けて、私はさらに精力的に働くだろう」。
彼が最後に言ったことは、国王になるための最初の一歩だったという説があるが、彼の周りの陰謀者たちの目的について明確なことはわかっていないし、国王になる計画がどの程度実行されたかもわかっていない。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

6巻13-15章

2024-06-21 11:00:29 | 世界史

【13章】
ぼう大な数の敵は自分たちの表面的な優勢を信じ、がむしゃらに攻撃を開始した。かけ声勇ましく、彼らは短槍を投げた。しかし近接戦になり、ローマ兵の闘志に燃える表情を間近に見ると、彼らは陣形を維持できなかった。最前列が引き下がると、続いて次の列が退き、最後に後列の援軍までが退いてしまった。その時ローマの騎兵が襲ってきて、彼らは新たな恐怖を感じた。あちこちで戦列が崩れ、全軍が動揺し、兵士たちは次々に逃げ始めた。前列の兵士が倒されると、後ろの兵士は次は自分がやられるると思い、後ろを向いて逃げ出した。ローマ兵の激しい攻撃にもかかわらず、抵抗した兵士たちもいて、その場合が敵の戦列をを切り崩した。やがて、ヴォルスキと同盟軍の兵士全員が武器を捨て、あらゆる方向に逃げ出したので、騎兵隊に追撃命令が出た。「一人ひとりを追いかけずに、集団をまとめて倒せ」。
騎兵は逃げ道をふさぐため、槍を投げ、前方を走り回った。敵兵がおびえている間に、ローマの歩兵が追い付いてきて、敵兵を次々に倒した。敗残兵の始末は日暮れまで続いた。同日、ローマ兵はヴォルスキの陣地を占領し、戦利品を獲得した。捕虜以外の戦利品はすべて兵士に与えられた。捕虜の大部分はヘルニキ族とラテン人の貴族だった。平民は傭兵と思われ、戦力の中心は貴族だった。ヘルニキ族とラテン人が国家としてヴォルスキ族を応援したのは明らかだった。捕虜の一部はキルケイの市民とヴェリトラエの植民者だった。捕虜はローマに送られ、元老院の重鎮が素性を調べた。捕虜が語った言葉は独裁官への返事と同じだった。彼らは祖国を捨てると言った。言い逃れのためそう言ったわけではなく、それが彼らの本心だった。
【14章】
元老院はヘルニキ族といくつかのラテン都市に宣戦布告するに違いなかったので、独裁官は陣地を引き払わなかった。ところがローマ市内の混乱が悪化し、独裁官が呼び戻された。反乱の首謀者の活躍が目覚ましく、騒動は異常なレベルになっており、日に日に悪化した。M・フリウスの動機は彼の行動から明らかであり、庶民のためという主張は手段に過ぎず、真の目的は冒険的で危険な革命であった。
優秀な兵士である百人隊長が借金のために引き立てられて行くのを見ると、M・フリウスは多くの支持者と一緒に中央広場に行き、高利貸しの無慈悲さを糾弾した。「高利貸しは惨めな平民を容赦しない。貴族は横暴で、平民を助けようとしない。私の戦友である市民が鎖につながれ、奴隷として売られるのを見ると、私が砦と丘を救ったことが無意味に思える。高利貸しと政府はガリア人と同じだ。彼らは私の友人を逮捕し、売り飛ばすのだ」。 
言い終わると、フリウスは百人隊長の債権者に負債金を支払った。支払われた銅の重量が確認され、百人隊長は自由になり、家に帰ることを許された。百人隊長はフリウスに感謝し、神々と人々に訴えた。「私を解放したマンリウス、平民の守護者であるマンリウスに報いてほしいい」。
群衆はがやがや言いながら百人隊長の周りに集まった。百人隊長はヴェイイ戦、ガリア戦そして最近の戦争で負傷していた。彼がそれらの傷の跡を群衆に見せると、群衆はさらに興奮した。百人隊長は語った。「私が戦場にいた時、また家を再建していた間、私は利子を払っていた。私が払った利子の合計は元金に相当する。しかし元金を払わない限り、再び利子が生まれ、負債は増え続ける。私は借金に押しつぶされ,地下に葬られた気分だったが、マンリウスのおかげで生き返り、再び地上の光を見ることができた。マンリウスは父親が子供に対するように親切にしてくれた。私は再び昔のように中央広場と仲間を見ることができる。私はマンリウスに私の残りの人生を捧げる。私にとって大切な家、祖国、神々を支えているのは彼だ」。
百人隊長の言葉は平民の心をつかみ、彼らはマンリウスの熱狂的な信奉者となった。ちょうどこの時さらに大きな混乱を引き起こす事件が起きた。マンリウスは自分の土地を競売にかけた。その土地はヴェイイにあり、彼の遺産の主要な部分だった。彼は言った。「私の土地がある限り、借金をかかえた市民が債権者に引き渡されることはない」。
人々は感激し、市民の自由を守る指導者の盲目的な信奉者となった。行く先が地獄であろうと、彼らはマンリウスについて行くつもりだった。マンリウスの扇動はこれで終わらなかった。彼は自分の家で演説しや;彼の家は中央広場の集会のようになり。大勢の市民が集まった。マンリウスは徹底的に元老院を誹謗中傷した。中でも彼は怪しげなことを臆面もなく断言した。「ガリア人がかき集めた黄金はどこへ行った。貴族が隠し持っているのだ。貴族は国家の土地を奪うだけで満足せず、今や国家の資金を盗んでいる。この事実が明らかになれば、平民の借金はきれいさっぱり消滅するだろう」。
集まった人々は借金が消えるという話に希望を持っただけでなく、支配者の恥ずべきやり方に怒った。ローマはガリア人に黄金を払って戦争を終わらせたが、その時、資金を市民の税でまかなった。その後ローマ軍がガリア人に勝利し、黄金を取り戻した。黄金は市民全員に返還されるべきなのに、貴族がそれを独占したのである。集まった人々は隠されている巨額の黄金を見つけ出したいと思った。ここでマンリウスは黄金がどこにあるか見当もつかなかったので、時間稼ぎをした。「黄金のある場所については、いずれ明らかにする」。
人々は黄金を探すことに夢中になり、他のことは頭になかった。もしマンリウスの話が真実だと判明したら、人々のマンリウスへの崇拝は無制限になるだろう。逆に嘘であると判明したら、人々の怒りが爆発するだろう。
【15章】
国内がこのように危機的な状態になったので、独裁官が戦地から呼び戻された。独裁官は国内の事情を聴いた。翌日彼は元老院を招集し、自分に付き添うよう命令した。また彼は集会の審判員のひな壇に独裁官の席を設けるよう言った。元老たちが護衛のように彼をとり囲むと、独裁官は役人に M・マンリウスを呼んでくるよう言った。裁判への出頭をを告げられると、マンリウスは群集に向かって、いよいよ決戦だと合図した。彼が裁判に現れると、大勢の群集が彼を取り囲んだ。元老と平民が向き合い、両者は自分たちの指導者を見つめ、まるで戦闘開始の合図を待っているように見えた。独裁官が「静粛に!」と言うと、両陣営は静かになった。独裁官は話し始めた。「すべての問題で元老院と私は平民と理解しあえると確信している。それを妨げているのは平民に誤解があるからにすぎない。誤解を生んでいる問題についてマンリウスを取り調べたい。M・マンリウス、君は借金が消えるという期待を市民に与えた。ガリア人から奪い返した黄金で債権者に支払えばよいというわけだ。現在黄金は有力貴族のところにあるからだ。私はこの計画に大賛成だ。だから私は君にその黄金を奪い返してほしい。めんどりが卵を温めるように、一部の貴族が大切にしている宝物は本来国家の物だ。だからぜひそれを取り返してほしい。もし君が失敗したら、私は君を投獄する。取り返せない理由は、君が国家の物を盗んだ者たちの仲間であるか、君の主張が嘘であるかのどちらかである。嘘の話で市民が希望を持つことを、私は望まない」。
マンリウスは次のように反論した。
「私の考えは間違っていない。独裁官が任命されるのはヴォルスキに対してではない。ラテン人でもヘルニキ族に対してでもない。私と平民に対してである。ヴォルスキと戦うことが貴族の利益になる場合、彼らは敵とみなされる。また嘘の理由をでっちあげ、ラテン人やヘルニキ族と戦争を始める。貴族はその戦争を急に中断し、私を攻撃し始めた。独裁官はたった今自分を高利貸しの保護者であり、平民の敵と宣言した。人々が私に感謝し、友情を持っていることが、私を犯罪人とみなす理由である。私を滅ぼすためである。A・コルネリウスと元老の方々、大勢の市民がが私を守ろうとしていることが あなた方にとって犯罪なのです。ならば、彼らを私から引き離せばよいではないですか。彼らに親切な行為をして、窮地から救えばよいのです。あなた方の資産の一部を彼らに提供し、彼らが債権者に引き渡されるのを防げばよいのです。また借金はなくても困窮する者たちがおり、豊富な富を用いて彼らをを助ければればよいのです。私はなぜあなた方に出費を勧めるのでしょう。金持ちはつつましい資産で満足すべきです。他人に金を貸し、利子で儲けようとしてはなりません。元金が返却されたことで満足すべきです。もしあなた方が利子を禁止したら、私の周囲に大勢の市民が集まることはないでしょう。借金に苦しむ人々について心を痛めているのは私だけでしょうか。この疑問に答える前に、渡しはもう一つの疑問に答えなければならない。カピトルの丘と砦を救おうとしたのは、なぜ私だけだったのだろう。私はあの時市民全体を救うためにできるだけのことをした。今私は一部の市民を助けようとしている。ガリア人から取り戻した黄金のありかについては厄介な問題に見えるが、実は簡単だ。あなた方は黄金のありかを知っているのに、なぜ私に探せと言うのか。あなた方が自分の財布を振ればお金が出てくるのに、なぜ他人にそれをさせようとする。あなた方が正直でないからだ。手品の種を明かせと命令したものの、観客に手品のからくりを知られてはまずいと気づいて困っている。あなた方が盗んだ物を私が見つけ出す必要はない。あなた方が市民に公表すべきだ」。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする