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海外のメディアから得た情報を書こうと思います。

ロシアによるクリミア併合は不吉な事件

2014-05-13 11:38:38 | ウクライナ

クリミアで3月16日、住民投票がおこなわれ、クリミアのロシア編入は承認された。住民投票の結果に基づき、クリミアはウクライナから独立し、ロシアに編入された。

 南オセチアの場合、グルジアから独立しただけで、ロシアに組み入れられることはなかった。したがって、今回、ロシアがクリミアを併合したことは、一般の予想を超え、あらためてプーチンの大胆さを示した。

 ロシアは「ブダペスト覚書」で、ウクライナの独立と主権を尊重することを米国と英国に約束していた。ロシアはその約束を破ったことになり、国際社会に及ぼす波紋は大きい。

 

ただし、もともとウクライナの独立は、ロシアにとって、あまりにも衝撃的であり、とうてい受け入れ難い事実であった。ウクライナには、ロシアの歴史と深く結びついている都市や地方が数多くある。クリミアはその一つである。

 

    <フルシチョフがクリミアをウクライナに渡す>

 

クリミアは、18世紀末、エカテリーナ2世がトルコとの戦争に勝利して以来、ロシア領であった。第二次大戦後、1954年に、フルシチョフがクリミアをウクライナに移管した。彼は、ウクライナをよく知る人物であり、ウクライナを基盤として党のトップとなった。

 この時フルシチョフは、ロシアとウクライナが分裂するとは、夢にも思っていなかった。彼は、ロシアとウクライナ両民族の「友好の証し」としとして、クリミアをウクライナに引き渡したのである。これがロシアにとって災いとなり、ウクライナの独立により、クリミアを失うこととなった。

 

         <ロシアにとってのクリミア>

 

黒海に自国の港を持つことは、18世紀初頭のピョートル大帝の時代以来の国家目標であり、エカテリーナ2世の治世にようやく実現したものである。

 

ピョートルは、陸上の輸送よりも経費のかからない海上輸送による貿易によって富を蓄える以外に、東方の小国ロシアに発展の道はない、と考えた。

 彼にとって、バルト海と黒海に自国の港を持つことは、最重要な目標であった。

 スェーデンとの戦争に勝利したピョートルは、バルト海沿岸部を獲得し、そこに新都を造営した。これがサンクトペテルブルグである。造営前のサンクトペテルブルグ一帯は荒れ果てた沼地であった。

こうしてピョートルは、念願の港を北の海(=バルト海)に獲得したが、南の海(=黒海)に港を得ることは、大国トルコに阻まれ、実現できなかった。黒海沿岸部とクリミア半島はトルコの保護領であったのである。

 

       <サンクトペテルブルグを流れるネヴァ川>

    

 (説明)                          wikitravelより

ネヴァ川はドニエプル川、ヴォルガ川と結ばれている。このため、カスピ海やボルガ川から北上した船舶にとって、ペテルブルグはバルト海への出口となっている。

 

   < ピョートル1世をモデルとした[青銅の騎士像]:画面左 >

   

 

                                   ウィキペディアより

 

 ロシアの歴史を考慮するなら、ウクラナ独立を自明の事実とし、「ブダペスト覚書」をたてにロシアを糾弾するのは、ロシアに対して酷である。キエフ暫定政権は、クリミア奪取を言語道断の侵略行為として、ロシアを非難している。

 国連で、ロシアによる「クリミア併合は無効」だとする決議案が採択されたが、賛成100に対して反対と棄権の合計は69であった。約10対7の割合である。賛成しない理由は複雑だろうが、私が上に述べたことも一因だろう。

 

   <クリミアを奪われたウクライナの怒り > 

 

しかしウクライナ暫定政権にとって、クリミアを失ったことのショックは大きかった。領土の重要な一部を奪われたことによって、独立国家ウクライナの尊厳と領土の不可侵性が大きく損なわれた。ロシアに対するウクライナ政府の怒りは大きい。

クリミアを失ったたことに対するウクライナ人の心情がよく表れている会話を以下に紹介する。生の声を聞くことで、キエフ政権側の考えがよくわかる。非常に恐ろしい内容である。

 電話による会話が盗聴されたもので、ティモシェンコと話しているシュフリッチという人物は、ヤヌコビッチ政権で非常事態相を務めたことがある人物である。

 

ーーー―  < ティモシェンコとシュフリッチの会話  >  ーーーー

 

シュフリッチ:クリミアの件はショックだった。私の知人は泣きだしそうだった。あなたは今後どうするつもりですか。

 

ティモシェンコ:私はマシンガンであの男(=プーチン)の頭を撃ちぬいてやります。

 

シュフリッチ:もし戦争になったら、兄と私は、予備役の将校として、武器を取って戦い、祖国を守ります。

 

ティモシェンコ:今度のことは、まったくと言って、限度を超えています。今や、私たちは武器を取って、あの呪われたロシア人と指導者を殺すべき時です。私は、今政権の外にいることが、とても残念です。私が政権を担当していたら、絶対にクリミアを奪われることを防いだでしょう。

 

シュフリッチ:私もそう思いました。あなたが政権の座にあったら、クリミアが失われることはなかったでしょう。しかし、何と言っても、我々には、まともな軍隊が存在しないのです。

 

ティモシェンコ:私ならあの連中を殺す方法があったのに。私は、私とつながりのある人々を総動員しようかと考えています。私は、可能な限りの手段をつくして、全世界を立ち上がらせます。そしてロシアには焼野原しか残らないようにしてやります。

 

シュフリッチ:その点では、私はあなたの無二の同士です。こちらでは、今日、午前中に各派の代表が集まって話し合いました。その後で、ヴィクトルと話しをしました。彼が言うには、「ウクライナ国内に住んでいる800万人のロシア人をどう処理すればよいのだろう。彼らは余計者だ。」

 

ティモシェンコ:ウクライナ国内のロシア人は核兵器で皆殺しにしなければなりません。

 

動画  <http://www.youtube.com/watch?v=6RxSzSWbcxo>

ーーーーーーーーーーーーーー  会話終了   ーーーーーーー

 

シュフリッチは、自分が発言したとされることをすべて否定している。ティモシェンコは「ウクライナ国内のロシア人は、核兵器で皆殺しにしなければなりません。」の一文だけを否定し、残りの発言を認めている。

 

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