たぬきニュース  国際情勢と世界の歴史

海外のメディアから得た情報を書こうと思います。

前回の当ブログ「NATO軍によるシリア攻撃」の一部訂正と補足

2013-01-26 06:17:46 | シリア内戦

前回紹介した記事について一部訂正します。NATO軍のシリア攻撃をけん制してきたロシア艦隊が地中海を去ったのは、コーカサスの黒海沿岸のロシア領土で上陸訓練をするためです。ただし、ロシア海軍の基地があるシリアのタルトゥスで上陸訓練を行わないのは、やはりロシアはNATOとアメリカに配慮しているように見受けられます。   

アサド大統領は辞任する考えなどなく、一月六日の演説では、テロリストと交渉する気はないと言い放ちました。つまり国連・アラブ連盟の特使ブラヒミの考える政治的解決に応ずる気はない、ということです。

アサド大統領の強気な姿勢の背景には、アメリカが不干渉の立場をとる一方で、ロシアはシリア沖に強力な艦隊を並べアサド政権を保護する姿勢を示し、またイランが全面的な援助を約束しているということがあります。

昨年十二月初め、NATOがトルコにパトリオットミサイルの配備を決めた時、前後して空母アイゼンハワーを中心とするアメリカ艦隊はシリア沖を去っています。

パトリオット・ミサイルは、追い詰められたアサド政権が毒ガスを搭載したミサイルを発射するかもしれず、それを打ち落とすために配備したということですが、同時にそれはイランのミサイルにも対応できるもので、軍事的な緊張を高めるものです。NATOの戦争準備とも考えられます。

ところが肝心なはずの空母を中心とするアメリカの攻撃艦隊はシリア沖を去ってしまった。

アメリカはアサド政権に対して武力を行使する意図があるのかないのか、まったく見当がつかない。

そう思っていた時に、「間近に迫っているNATO軍のシリア攻撃」という記事に出会ったので、前回、当ブログで紹介したわけです。

ただし、ロシアは、今月末に東部地中海で海軍艦艇による軍事演習を予定しており、現在準備をすすめていると言っています。これは仏・米・英の軍事干渉の動きに対する警告です。

アメリカが世界の各地で行ってきた主権国家の転覆に対して、ロシアの軍人と旧KGB出身者は心底怒っており、それがラブロフ外相の一貫したアサド政権支持という形で表れています。

  また昨年五月には、メドベジエフ首相と軍の高官が「シリアに対する欧米の軍事干渉をロシアは見過ごすわけにはいかない。シリアの現政権を転覆しようという試みをロシアは断固阻止する。たとえそれが核戦争に至るかもしれないとしても、だ。」と述べています。  

ですから、前回紹介した「ロシアはタルトゥスにある軍の施設を閉鎖し、シリア政府に対して軍事的な支援は行わない。」という記事は衝撃的なものでした。

非常に少ないようですが、似たような観測をする情報筋があるようです。三日前にカナダの新聞が、「ロシアはアサド政権と心中するつもりはなく、同政権の将来にすでに見切りをつけている。」と伝えています。 

事実とすれば、「合法的な政権を武力によって転覆しようとするなら核戦争も辞さない。」という五月の発言を思い起こすなら、手のひらを反すような心変わりです。

私としては、ロシアが今後どういう行動をとるのか全く予測がつきません。ロシアが態度を一変して欧米と妥協すれば、中東大戦争の規模は小さくなり、ひとまず安心ですが。ただし、その場合でも、イランがどう出るかという問題は残ります。

 

前回紹介した新聞の名前ですが、プブリチと私はイタリア式に読んだのですが、それは誤りで、パブリック・アイというアメリカの新聞でした。訂正させていただきます。

今後も予想外な記事に出会ったら、その都度紹介していきます。同時に、あまり語られていないけれど実は真相であるような話しを探す過程で、「とんでもない嘘」にだまされない術を身に着けられないものかと願っています。

 

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差し迫っているNATO軍によるシリア攻撃

2013-01-12 11:42:06 | シリア内戦

シリア内戦の今後について、できるだけ的確な予測をしようと、あれこれ調べているうちに、現実の進展に追い抜かれてしまいました。NATO軍によるシリア攻撃が差し迫っているという記事を見つけました。

 

―― ロシアはシリアの港タルトゥスにある海軍基地を閉鎖した。しかし将来の使用再開をも否定するものではない。シリア政府との軍事協力に関しては次のことを原則とする。ロシア政府はアサド政権を政治的に支持し、また情報及び人道的な側面において支援する。規模の大きい武器供給の予定はない。            

 --- 以上「聞いたこともないような話」という変な名前のロシアの新聞からの引用。    

用心棒のようにタルトゥスの港に姿を見せていたロシア海軍の艦船は去り、ロシアはアサド政権に対して軍事的な支援はしない、という内容の記事です。ロシアが態度を一変させたという話です。

続いて同じ内容のイタリア紙プブリチ[大衆]からの引用です。

ーーー タルトゥス港沖に停泊していた11隻からなるロシア艦隊は、これまで2週間のあいだに全て地中海を離れ、それぞれの母港に戻った。(黒海艦隊、バルッチク艦隊、北洋艦隊の合計11隻がそれぞれの基地に帰って行ったのである。)

ロシアが劇的に自らの軍事的プレゼンスを縮小したのは、NATO軍による大規模なシリア攻撃が目前に迫っているからだろう。 --- 以上引用終わり 

 

早い時期から、アサド政権は崩壊するという予測はありました。予測というより、それを計画している者がいて、そういう予定なのだというのです。ただし私は信じていないので、こんなに早くシリア戦争が起こるとは、思っていませんでした。(まだ起きていませんが。)シリア戦争というのは、これまでの内戦とは別に、NATO軍とシリア国軍との戦争です。上に引用した記事は未検証ですが、事実であるような気がします。

 

リビアの軍隊と違って、シリア軍は装備も組織もしっかりしているので簡単には片付かない、と言われていました。それにイランとの戦争につながる危険が高く、そうなれば、イラク戦争やアフガン戦争より規模の大きな戦争になり、ちょうど両者を足した規模になると思います。

アメリカ国民はもちろんですが、軍人の多くもそのような戦争を望んでいないようだし、オバマ大統領も二重人格のようなところがありますが、ロシアと協調してシリア内戦不拡大の努力をするのではないか、とも思いました。見事にはずれました。        

すでにシリアは戦争状態ですが、アレッポやダマスカスやその他の大都市の住民のほとんどが戦禍に巻き込まれるようになると悲惨です。またその結果生まれた大量の難民が、隣国レバノンやトルコやヨルダンに流れ込むとそれらの国が不安定化します。

シリア国民にとって一番よいのは、NATO軍とシリア国軍が協力して、すべての自由シリア軍(各地の反政府素人軍)を武装解除することだと思うのですが。その上で国連の指導のもとに選挙をすればよいのですが。

もっとも、素人軍人の自由シリア軍も今では成長してセミプロなので、簡単には退治できない。私の解決策はもう手遅れです。

かといって今後実際にNATO軍が実行する解決策も結構大変です。政府軍は正規軍としての装備を持っていますから、自由シリア軍より手ごわいです。

結局政府軍は敗北するでしょうが、敗走していったん消滅しても、その何割かがゲリラ集団として再集結します。そしてそれをイランが積極的に支援します。イランは既にヒズボラ的な組織をシリア国内に準備し始めているという情報もあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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