温故知新~温新知故?

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井上悠宇『不実在探偵の推理』読了 〜探偵は喋れない、実在しない妄想?、斬新だ!〜

2023-10-16 23:28:24 | 
この本は、以下の朝日新聞の紹介を見て、「斬新」、「まだこんな手法と描き方があったのか!」という言葉に惹かれて予約した。
確かに“ハイ”“イイエ”“ワカラナイ”“関係ナイ”という言葉だけで推理する(水平思考というらしい)ところは非常に斬新だ。
これまでにない斬新さを味わいたいなら、井上悠宇『不実在探偵の推理』は外せない。
本作の名探偵は、大学生のウツツにしか姿が見えない美貌(びぼう)の女性。
彼女は抜群の推理力を持っているが、タイトルのとおり目に見えない存在のため、謎を解き明かしてもそれを説明、披露することができない。
ではどうするのかというと、事件の概要や関係者の証言などを聞かせたのち、刑事が質問を投げ掛け、答えを引き出していくのだ。ウツツが黒い箱に入れて持ち歩いている青いダイスの目の変化から、彼が読み取って返答できるのは、“ハイ”“イイエ”“ワカラナイ”“関係ナイ”、この四パターンだけ。
このやり取りによって、死んだ女性が握りしめていた花の意味、宗教施設にある眼球の像が血まみれになった謎、誘拐された女性の消息について、すでに名探偵によって解き明かされた答えに迫っていくのだ。
謎解きにも、まだこんな手法と描き方があったのか! と感心すること請け合いである。
アマゾンの評価も高いようだ。
猫山田ひろし
5アイディアの勝利
「ウミガメのスープ」に代表される水平思考クイズの手法(推理の手順)を実際の事件を解決する「名探偵」に応用するという「その手があったのか!」的な驚きだけでもう☆5つ。
その特異すぎる名探偵像ゆえに、シリーズ第1作である本作では「なんでそんな無茶苦茶な推理が可能なのか」という説明というか「匂わせ」の占める割合が多くて、正直言って肝心の事件とその推理の過程については物足りないところもあるのだが、その点に関してはシリーズ次作以降に期待したい。
というわけで、ちゃんと次作が出るように本作はしっかり売れて欲しい、というのが結論。
読み出してすぐ、面白いと思って、3日くらいで読んでしまった。推理の方法、探偵が実在せず、妄想でしかない。そして、その探偵は、喋ることができないので、質問は工夫して“ハイ”“イイエ”で答えられる形にしないと“ワカラナイ”“関係ナイ”という返事になってしまう。その辺の論理展開も面白い。しかし、アマゾンの評者も指摘するように、事件の内容と、推理の過程、それから意外性というか、どんでん返し的面白さは少し物足りない。しかし、面白かった、楽しみました。

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