温故知新~温新知故?

音楽ネタが多いだろうけど、ネタのキーワードは、古きを訪ねて新しきを知ると同時に新しきを訪ねて古きを知るも!!

人間は哀れである 東海林さだお著 読了 〜本当に人間はありきたりの日常を重ねるのが人生なのだ〜

2022-06-04 14:08:35 | 
一昨日読了しました。下のアマゾンの紹介にあるように性観念から、哀れな人間、往生際と本当に興味深くよんだ、私はこの著者の年より、さらに年取った状態で読んでいるので、物忘れなど、その通りということがいっぱい書かれている。
夫婦のアレから往生際まで……平松洋子が選ぶニンゲンの本質に迫る東海林作品23編。ぷぷぷと笑って、じんわり沁みて、明日が違って見えてくる。 偉い人の威厳をはぎ取ってみせる「人間は哀れである」をはじめ、国語辞典の性観念を検証する「青春の辞典」、心ゆくまでというのがいかに困難かを語る「往生際」……斜めから見る世の中の可笑しさに思わずニンマリした後に、東海林流ペーソスがじんわり沁みてくる。最高の読み手・平松洋子が選ぶ、人間への愛おしさと哀切を湛えた23の傑作エッセイ。創作の背景に踏み込んだ著者と編者の対談も。
高の読み手・平松洋子が選ぶ、人間への愛おしさと哀切を湛えた23の傑作エッセイ。創作の背景に踏み込んだ著者と編者の対談も。 
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人間(大人)にとって幸せとは何か? そんな考察がある。ううむ……。東海林さんは「ごきぶりホイホイが一杯になることです」と喝破する。なるほど。まだ生きていて「ヒゲの先端だけ貼りつき、ひとふんばりすれば取れそうなのだがどうしても取れない奴。半分観念したものの、まだ半分は望みを捨てず、ときどきピクピクと未練げに手足を動かしている奴」などを見ていると飽きないと。 逆に設置した翌日見て、一匹もかかっていないのを見ると「心に穴があいたような淋しい気持ちになる」と。「小さな不幸とはこのことか、とさえ思う」と。
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そしてこの一文を読んだ時に、僕はアウシュビッツやシベリア強制抑留(拉致監禁)にふと思いを寄せるのだ。ゴキブリホイホイでゴキブリが死んだり死にかけたりしているのを喜ぶ心は、収容所で監視役の側に就いた人間の心境にも似たものがあるのかもしれないなと。
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という風に「人間とは何か」を考えるための一冊としては、ニーチェやラッセルよりも貴重な一冊だ。マーク・トウェインの『人間とは何か』(岩波文庫)にも匹敵する作品かもしれない。 自殺をするようなひとは、電車に飛び込む前に、東海林さんのこの本を手にするといいかもしれないね。
上にも出てくる平松洋子さんの書評も以下に載せる。
84歳にして現役、週刊誌連載でも創作意欲の衰えを感じさせない東海林さだおさん。長年、漫画とともに読者を魅了してきたエッセーの膨大な作品群から、盟友である作家の平松洋子さんが逸品を選んだ。 人間は姿形から行為、生理まで、すべて哀れである。なのに自分を偉大とすら思っている。生きていかなければならないのが哀れの根本である――。昔、酒宴で同席者全員の哀れさを説明もなく切々と歌った友人の「発明」的な話も、味わい深い。  「『東海林さだおの哀れさよォ~』って歌われたら、しみじみ、うつむいちゃうでしょ」
目次 1(なんとなくクラシテル;許さん!爺さん奮戦記 ほか) 2(フロイトが食べる;夢混(夢の混浴)よ、いずこ ほか) 3(人間は哀れである;小さな幸せ ほか) 4 東海林さだお×平松洋子対談(地元のこと;創作とショーバイ)
先日読んだ「どうやら僕の日常生活はまちがっている」岩井勇気著と通じるところもあるな。面白かったです。
目次は以下の通り、本当に日常の些細な出来事を書いているだけなのだが、妙に納得性がある。私も自分のブログはこのような形(「ありふれた人生」だと言い切る芸人の日常は、実は狂気を孕んでいた……。見過ごせない違和感に牙をむく)にするのもいいなと考えている。

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