温故知新~温新知故?

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生きるとか死ぬとか父親とか-ジェーン・スー著読了〜お父さん、スーの人生、興味深い〜

2019-03-10 15:36:00 | 
ジェーン・スー『生きるとか死ぬとか父親とか』を語る


私の愛聴するラジオ番組はジェーン・スーの生活は踊るだ。しかし、ウィークデイの11時から14時という時間帯はそう毎日聴けない。基本的にはラジコでタイムフリーで1週間分をまとめて、東京移動などの車移動の際に聴いている。その彼女が父親のことを書いた本を出したと聞いて、だいぶ前から読みたいと思い、図書館に予約して半年くらいして先日やっと手に入れた。
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一番近くにいたはずの人が、一番わからない――
父、そして、この世から去った母、家族の肖像を娘が描く。
向田邦子『父の詫び状』、リリー・フランキー『東京タワー』を彷彿とさせる、普遍にして特別な家族の物語。
阿川佐和子さん推薦!
「決して大好きとは言いにくいのに、自分とさほど似ていないと思うのに、娘は父を無視して生きてはいけない」
「私が父について書こうと決めたのには、理由がある」――。
24歳で母を亡くし、我が家は、父と娘の私だけに。それから20年が経ったけれど、いまだに家族は増えていない。気づけば私は40代半ば、父は80歳になろうとしている。
いま猛烈に後悔していることがある。母の人生を、母の口から聞かなかったことを。母の母以外の顔を知らないまま別れてしまったことを。父については、もう同じ思いをしたくない。もっと、父のことを知りたい。もう一度、父と娘をやり直したい。それには、これがラストチャンスかもしれない――。戦時中に生まれ、戦後社会に飛び出て、必死で働いた父。母との出会い、娘の誕生、他の女性の影、全財産の喪失、母の死……。父への愛憎と家族の裏表を、娘の視点で赤裸々に描く傑作エッセイ。

彼女は時々放送で語るけど、私より10歳位上の父親ってどんな人なのかに以前から興味があった。彼女の相談に対する答えも、私の年齢より30くらい若いのに大したもんだと思っていた、それはなぜなのか?などの知る一助になるかと思い、興味深く読んだ。
内容は、まあ、私小説のような形で、父親のことを知らない、自分が生まれる前の父親ってどんな人だったのかを知りたいと思って、いろいろ聞くような形になっていて読みやすい。
ジェーン・スーさんは女性向けと思われる著作が多いので、ラジオをまとめた人生相談は目を通したけれど、これがはじめて読む作品でした。
本書には、母を20年前に亡くした著者と、老いていく父との関係が綴られています。エッセイとも、私小説とも読めます。
重くなりすぎないよう軽やかな筆致ですが、終盤ではずっしりとした感触になります。
もっと幅広く知られていく作家のスタートとなる作品。

友人から「オレオレガチ」と称される父。愛憎半ばしつつも、求められれば応じずにはいられない娘の姿は、著者のこれまでの作品とは少し趣が違う。これまでの作品が苦手だった男性読者も味わいつつ読める良品ではないか。
父との緩衝剤の母が亡くなり、父娘は愛と憎をあざなった縄のよう。「愛も憎も量が多いほどに縄は太くなり、やがて鋼の強度を持つようになる」と著者は語る。
ラストの母と銀座を語った文は泣かせる。「ママが出てるから何度も読んでるの」と、ここは殊勝な父。ジェーン・スーの本でこんなふうに泣くとは思わなかった。
印象的だった言葉は「安く成り下がったものが美談。無様な不都合を愛憎でなぎ倒してこその現実」、「逃げる時は決して自分が最初ではなく、誰かが逃げて、そのあとをみんなが付いて行く。何故その方向に逃げるかなんて、誰もまったくわからない。」という戦中を語った父の言葉。
文章の冴えと分析力は相変わらずだが、父への愛憎の情に満ちた今回の作品は、老若男女にお薦めだと思う。

以下にあるように、彼女と同棲代の女性の読者がメインの層だと思うけど、私のように父親と近い世代の目から見ても結構いろいろ考えさせられる本だった。私も娘は一人で、その娘は彼女と同世代、私は父親の立場で読んだ。私もあと10年すれば80歳近くなる。彼女の父親は今でも女性と気の利いた会話ができる、若くして事業をして、4階建ての事務所兼自宅を築いた、おしゃれな服を着る、妻をなくして20年、倒産、家を手放すなど、私とは全く違った人生を歩んできているけど、私も怖いもの見たさで、彼女の父親のような人生を歩んでみたかったみたいな気持ちはある。男はみな波乱万丈な人生に憧れるものだと私は思っている。私も、常日頃思っているのは25歳前後で結構しなかったら、いまごろは海外のどっかですでにのたれ死んでいただろうなんてことをよく思う。そういう自分がこの本を読んで思うのは、70歳近くなって、過去を振り返ったり、今後生きていく10年、20年どのようにしたいか?この本のように昔住んでいた渋谷の街とか、静岡とか、よく言ったレストランや、父親や母親が愛していた食べ物や服や趣味のものを改めて見てみたり、訪ねてみたりしたいと思った。そんな事を考えさせてくれるほのぼのした本でした。良い本でした。
生きるとか死ぬとか父親とか 感想 ジェーン・スー - 読書メーター
ジェーンスーさんの著作は本当に面白いです。父に関することを書いているのですが、父と子の関係性が垣間見えて読みながらニヤニヤしてしまいました。ジェーンスーさんのお父さんは傍から見れば面白く魅力的な感じがしますが、一つ屋根の下に一緒に住むのは大変かな…と。読んでいて、自分の父のことも思い出したりして、親孝行もしっかりしないとなと思ったり、改めて、家族のことを考えるきっかけになりました。

父親との関係に煮詰まっているので、何か手がかりが欲しくて読んだ。引越しなのにずっとテレビを見て手伝わない父。ミンクのコート、うちは着物だった。インプラントの話も一緒。どうして、老人の一人暮らしはこうなるのだろう?疑問と嫌悪感。私は作者のように父との関係を客観的に見る事が出来ない。父を甘やかす事も出来ない。老いていく父と断絶したいと思う私は、ひどい娘だと思う。

出だしはここで読める。
第1回 この男、肉親につき。 | 連載 | ジェーン・スー「生きるとか死ぬとか父親とか」 | Book Bang -ブックバン-
本連載をまとめた単行本『生きるとか死ぬとか父親とか』は、2018年5月18日に発売されます。
題字・絵 きくちまる子
 我が家では、元日は墓参りと決まっている。「我が家」と言っても七十七歳の父と四十二歳の娘ふたりだけの限界集落ならぬ限界家族で、元日の墓参りが決まり事になったのは、母親が十八年前に鬼籍に入ってからのことだ。

【感想】生きるとか死ぬとか父親とか/ ジェーン・スー 読後に「相談は踊る」を聴いた。 - 別館.net.amigo
自分の父と重ねつつ読んだ

「生活は踊る」リスナーなら、おそらくラジオを聴いてから本を読んだ人が多いのだろう。あたしゃ逆なのよ。本が先。新聞の書評欄で誰かが勧めてたのがきっかけ。読んでから聴いた。
父も戦中派としては最後の方(終戦当時9歳)。宿題で、戦争体験を聞いて作文にするのがあった。聞いてはいけないことを聞いたような気まずさ。今でも覚えているのは「戦時中の飯なんかくっそ不味くて食えたもんじゃねぇ」だけだ。今しゃべれない状態になっちゃったから、少なくとも結婚前までにはちゃんと聞いておけばよかった。

『生きるとか死ぬとか父親とか』と『ゴロウ・デラックス』 - 【考える葦】
 なぜ父親がテーマ?
24歳のときにお母様を亡くしたジェーン・スーさん。結局、母親というお面をつけたまま終わってしまい、結婚する前の話だとか、母親以外の顔をした話を聞かなかったことが心残りだったある日、ふと横を見るともうすぐ80歳になろうとしている父親がいて、“あ、このままだと私はものすごい後悔をする”と思った矢先に、お父様から“お金がなくなった”と言われ、ならばお金を出してあげるからプライベートをくれよとお父様に対する取材を開始。