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免疫の意味論 / 多田 富雄

2010-08-11 | Books
ことしの4月に亡くなった免疫学者の多田富雄氏の
ことを知ると、著作を読んでみたくなり
素人にも分かりやすいと思われるこの本を
図書館から借りてきました。

とはいってもこれは難しかったなぁ。

免疫は「自己」に対し「非自己」を排除することであるが
そこでは「自己」を排除してはならない。

それではどうして「自己」と「非自己」を区別するのか。

免疫を担う細胞は異物(ウイルスなど)が体内に入ると抗体をつくる。
異物=「非自己」が現れないと、抗体=「自己」も現れないという。

免疫系の考え方はこのように組み立てられているらしい。

しかしその仕組みが人間が思うように働かないところに
生物の不思議があり、それをどのように解明していくのかが
免疫学者の研究ということになるのだろう。

あとがきには、このような免疫学の問題について
一般の方にもわかり易くお話しすることを考えた
きっかけのひとつとして「脳死」に関する議論があった
とあります。

「生命の全体性」というものについて
免疫学をとおした別の視点もあることを
発言したかったというのです。

くしくもきのうは改正臓器移植法に基づく
臓器移植がおこなわれました。

著者ご本人も脳梗塞で倒れ、リハビリを続けられていたそうですが
診療報酬制度が改定されリハビリの制限がおこなわれたことも
死を早めたという意見もあるようです。

氏の著書はこれが初めてですが
集英社文庫から出た『寡黙なる巨人』も買いましたので
この夏休みに読んでみようと思います。
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