梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

『研辰』稽古場だより・弐

2005年04月27日 | 芝居
今日も引き続き、すみだパークスタジオで。十一時開始で、昨日の続きの場面からです。
昨日追加となった私の出番は大詰です。初めて「役」としてこの芝居の稽古に参加することになりましたが、いやはや、観ているだけではその大変さはわからないものですね。一番「群集の力」を出さなくてはならない場面。さりとてただ騒いでいるだけではダメで、抑えるところ、発散するところをきっちりわけて、芝居の流れ、主演者のセリフにきちんと「反応」しながら芝居をしなくてはなりません。群集役がズラリと居並ぶ中で、私がいるブロックは、どうもやりすぎてしまう役者が集まってしまったようで、度々野田さんから「そこは興奮しすぎ」「アクションが大きい」とダメを頂いてしまいました。しかし盛り上がってもいいところは、皆々声を張り上げての熱演ですから、私も負けじと声を出しましたが、なんだか喉を痛めてしまいそうです。
とりあえず全場が終わり、休憩を挟んでまた最初から。今日は特殊小道具担当のアトリエ・カオスさんが、いくつかの小道具を持ってきましたので、実際に使用することに。カオスさんの小道具が活躍するのが、実は私が「迷彩黒衣」を着て仕事をする第二場「大手馬場先・殺しの場」で、勘三郎さん扮する辰次が、憎き平山市郎右衛門(三津五郎さん)に一泡吹かそうと「からくり人形」を仕掛ける場面です。この人形の動力源が「お化け提灯」。私、このお化け提灯を操っているのです。操ると申しましても、提灯は約百八十センチ。私が提灯に入り、中のベルトで体と連結し、私が飛び跳ねることで提灯が暴れるように見えるのですが、これが重たい! 初演の時もつらかったですが、今日改めて実感。とくにベルトを担いでいる肩に負担がきます。短い出番なのですけれど、跳ねながら、火が燃える仕掛けを出したり、真っ赤なベロをのぞかせたり、仕事も多いので忙しいです。そしてなにより、熱がこもって暑いこと! ですがこの提灯の飛び跳ね方が面白い!と、初演時に当時の勘九郎さんにおっしゃって頂いたのですから、今回もさらに面白いお化け提灯にしたいと思います。
主演俳優さんの都合で三時半に稽古は打ち切り。明日からは歌舞伎座の舞台にてのお稽古となります。いよいよ実寸での演技。今日までとは勝手も変わってくるでしょう。
だんだんと、芝居は固まってまいります。

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