梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

無事終わりました

2009年03月26日 | 芝居
本日をもちまして、歌舞伎座3月興行『通し狂言 元禄忠臣蔵』は無事千穐楽でございます。
歌舞伎座では20数年ぶりの<新歌舞伎>の通し狂言。大勢のお客様のお出ましを頂き、有り難うございました。

「江戸城の刃傷」での、御坊主関久和。本当に、本当に難しゅうございました。師匠の内匠頭、尾上菊十郎さんの梶川与惣兵衛、そして大和屋(彌十郎)さんの多門伝八郎…。大先輩がたの中で、短い時間ながらも演技をさせて頂き、台詞も頂戴した、そのプレッシャーはもとより、一日の物語の発端であるこの場の、緊迫した雰囲気の中にいるということ…。ドキドキしっぱなしの25日間でした。
その日々の中で、たくさん勉強させていただきました。未熟なところ、至らぬ点ばかりで、なんとも情けない思いでいっぱいですが、とにかく全力で、決して気を緩めることのないように勤めました。しっかり気持ちを作ること、そしてそれを維持し続けることの難しさを、改めて思い知らされましたが、まずは粗相なく勤めおおせられましたこと、今はホッとしております。反省や後悔は、これからジワジワと襲ってくるのでしょうけれど…。

得難い修行の場をお与え下さった皆々様に、心より御礼申し上げます!

…変わって「御浜御殿綱豊卿」の奥女中の綱引きは、毎日楽しく勤めることができました。
ウキウキした場面ということで、段取りは決まっていても、細部は日によって色々と変わりました。先輩方のイキに合わせて、引っぱられたり引っぱったりの具合、アラララ今日はどこまでゆくのかしら? ということもままございまして…。
そういうことができるのも、この場の面白さかもしれませんね。千穐楽の本日などは、双方本イキでの真剣勝負…といっては大げさですが、引っ込んでから少々息があがってしまいましたヨ。


と、いうわけで…。
これから20年後の歌舞伎座で、どんなお顔ぶれで『元禄忠臣蔵』が上演されるのか、そんな想いも抱きつつ、次々と片付けられる裃の山を見ながら楽屋を撤収いたしました。
明日明後日はお稽古はございません。更新もお休みさせて頂きます。

お腹いっぱい真山青果の弥生興行でした。