梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

綱豊卿はすごい召使いを抱えていたのです

2009年03月11日 | 芝居
『御浜御殿綱豊卿』に、奥女中役で出させて頂くのは、平成13年8月歌舞伎座以来、2度目となります。大和屋(三津五郎)さんの綱豊卿、中村屋(勘三郎)さんの助右衛門でした。
このときの幕開きは、舞台上手で花を摘んでいる者もあり、下手の床几に座って談笑する者あり、“お浜遊び”の1日を自由に過ごす、和やかな光景として描いておりました。先年の国立劇場で、師匠が綱豊卿をなすったときも同様です。

今回は、全員で“綱引き”に興じている様を見せております。こちらのやり方も昔からあるもので、どちらでやるかはその度ごとに、主演なさる方のご意向等を考慮して選択されます。
真ん中に金の大鈴を吊るした紅白の綱を引き合うという、なんとも派手な試合(?)ですが、奥女中たちの衣裳も、元禄ということもあって華やかな色み、柄になっておりますから、桜花爛漫のお庭先、20人近くが舞台に居並んで歓声を上げながらうち興じている景色は、それまでの幕が男ばかりの渋い雰囲気なだけに、より印象深く、鮮やかに見えること思います。

…上手チームと下手チーム、双方互角の戦いというおりから、颯爽と登場する“大女”が、あっけなく勝負を決めてしまいます。御覧になった方はおわかりかと思いますが、実に豊かな肉体をお持ちの彼女、昔から、大柄な立役さんが演じることの多いお役でございます。
今回も、これが2度目という立役の先輩がお出になっております。もともとの体に、着肉もばっちり着込んでおりますので、迫力満点! 「ご加勢いたしますッ」の声も頼もしきスーパーウーマンの登場に、客席も沸いております。

後ろ姿もこの通り…。

衣裳がはち切れそうですね。