梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

残り十日となりました!

2006年07月13日 | 芝居
今日は中日でした。一日二回の公演ですから、これまでに二十二回の舞台を勤めたことになり、これは普段の興行でしたらほぼひと月分。ちょっと疲れも出てきました。まだ同じ数だけ残っているわけですが、なんとか乗り切りたいものです。

さて、先日皆様に出題した「熱が冷める釜底」の謎ですが、本日正解を発表いたしましょう。
何人か解答をお寄せ下さいましたが、皆様<手水鉢>に仕掛けありとニラんでいらっしゃいましたが、まさにその通り。手水鉢が二重底になっておりまして、中に熱が冷めた釜底が入っているのです。写真をご覧頂ければよくお分かりかと存じますが、内側は手水鉢と同じ模様を描いているので、お客様にはまず二重底とは気づかれないでしょう。では、どのようにしてこの仕掛けの釜底と、赤く塗っているお釜本体が一体となるかと申しますと、仕掛けの釜底の内側と、本体の外側に、目立たないようにマジックテープが貼付けてあり、六助がお釜を手水鉢に入れた時点で二つがピッタリくっつくので、あとの場面ではただ持ち上げるだけでよいというワケ。

この仕掛けはごく最近考えられたものですので、過去の舞台ではみられなかったものです。師匠の前回の上演(平成十五年九月)でも使われませんでした。芝居に携わる色々な方のアイディアで、まだまだ演出は変化するかもしれませんね。