梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

明日から長い道のりです

2006年07月02日 | 芝居
今日の<舞台稽古>は“素”、つまり衣裳も着ず化粧もしない稽古着での稽古で、国立劇場での公演では毎回恒例の方式です。とはいえ演ずる役によっては、演技の都合上衣裳を着ないと感じがつかめなかったり、段取りがつかなかったりいたしますので、<素顔に衣裳>というちょっと不思議な恰好で今日の稽古を勤める場合もございます。ちなみに、後見は本番通りに黒衣を着るのがならわしです。

さて、国立劇場は毎年六、七月が<歌舞伎鑑賞教室>と銘打った公演で、『歌舞伎のみかた』と一時間弱の演目ひとつ(稀に短い舞踊との二番立てになることもある)というプログラムで、関東近辺の中学生や高校生を対象に、歌舞伎の面白さ、魅力を伝える活動をいたしております。ことに、お芝居の前に、「歌舞伎とは?」をわかりやすく解説する『歌舞伎のみかた』は、河竹登志夫氏の監修のもと、毎回趣向をこらして内容を構成しておりまして、楽しく面白い三十分の一幕となっております。
お客様を実際に舞台にあげ、演技を体験して頂いたり、あるいは華やかな立ち回りの実演や音曲の演奏で、ヴィジュアル面から楽しんで頂いたり。司会をお勤めになる俳優さんの話術もあいまって、学生さんも笑ったり驚いたり感心しながらご覧下さっております。
今月は滝野屋(男女蔵)さんの司会、現在歌舞伎俳優研修中の十八期生も、楽屋実習の一環として、先月に引き続き出演いたしますが、さあどんな内容かは観てのお楽しみですね!

<歌舞伎鑑賞教室>は、毎日二回公演ですので、今月の場合は二十三日間四十六回公演。巡業でもない限り、同じ芝居をこんなに多くは勤めませんから、演目、勤める役によっては体力的にしんどい場合もございます。ただ、終演時間が午後五時半過ぎですから、早く帰宅できてのんびり夜を過ごせるのは有り難いところです。

今日までの稽古はもっと早くに終わっておりました。おかげで色々用事が済ませてよかったですし、今日は素敵な夕空を眺めることもできました。一日のうち、夕暮れ時の空気が、私は一番好きです。